30美汐の嫁入り、栞の復讐
[16/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
る美汐が見えた。
先程からポンポンとゲートを開いている舞だが、魔力の源は持っていて、さらに「約束の少年」と再会して結ばれて一つになり「今宵の斬鉄剣は一味違うぞ」みたいな状況になっているので、物理法則を無視した妖狐の力を発揮できたらしい。
「天野っ!」
ゲートをくぐって天野の家に入り、首に縄が掛かっていて、数人に刃物や拳銃を突き付けられている美汐を抱き止めた。
「急ですみません、美汐さんは頂いて行きます」
「ああ、今晩だけでも大事にしてやって下され」
手を握って孫娘と今生の別れをするお婆さん。首の縄を外してやり、周りの者も下がらせるが、その目は「孫と同じ形をした物体」を見るように諦めきった表情をしていた。
「それじゃあ頂いて行きます」
もう歩けない美汐を抱いて突き飛ばすようにゲートに押し込み、何とか秋子の家に戻れた。
「何とか助かった、生きた心地がしねえ」
祐一と動けない美汐はorzの体制で崩れ落ち、舞がゲートを閉じてくれたので、ようやく深呼吸ができた。
秋子ちゃんの仕打ちが恐ろしく、その命令を長年勝手に解釈して、忠誠の証に今の時代まで名誉殺人を保持している連中の考え方にも恐怖した。
(ンゴ……)
盗聴器の向こうでは、美汐と同じ立場で、一族から同じ扱いを受ける予定の月宮真琴も、生きた心地がせず白目を剥いて痙攣していた。
もしこのままマンションにいれば、日中に目と耳と鼻と口とケツ*を人毛で縫われて、手足を折られてから遅効性の毒でも飲まされたか、ちょうど半日で溶けるカプセルに猛毒でも入れて飲まされてから配達されたはずで、梱包はアマゾンより厳重な「和製アイアンメイデン」か「オヤシロサマ」にブチ込まれるので気分が悪くなった。
「まあ、一弥の新しいお嫁さんね」
佐祐理お姉ちゃんは「新しいお菓子が来たわ」ぐらいの表情で楽しそうにしていたが、舞は「佐祐理の新しい妹?」程度の認識で「祐一の嫁」とは認めておらず、機嫌も悪かった。
もしここに栞がいれば、「今、私の目の前で別の女にプロポーズしましたね? 私って何ですか? ただの遊び相手? あの約束って夢? 幻?」みたいな、ヤバくなった時の実の姉ソックリな顔で睨んで来るのは間違いなかったので、この場にいないのを幸いとまで思ってしまう祐一クンだった。
(ここまで酷いとは……)
秋子も、今までの自分の不用意な発言と、この日の祐一の行動の異常さも感じたが、本来数日以内に纏めて殺されていた数人が、この場に集められて命を永らえさせられたのだと思えた。
(天使の人形くんも大変ですね)
折角体を強化して命を繋いでも、魔物の存在が知られた日に纏めて名誉殺人で始末されたか、香里、栞、佐祐理まで内定されていて一度に抹殺されたり、昼間に舞を殺されて全滅して手足を失わせる羽目になった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ