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KANON 終わらない悪夢
29秋子ちゃんvs佐祐理、真琴の帰還
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を封印するのが正解だった)
 台所で秋子が何かをフライパンで調理する音と匂いがしたが、人間の嗅覚では毒物としか思えない物が調理されていた。
「私にできることがあったら何でも言ってね」
 その声からは「今のお姉ちゃんは助けないでもいい」という呪いが聞こえたので、天使の人形もちょっと引いた。
(香里さんは今からでも始末してあげるよ。栞ちゃんが魔物の頃、仲間を助けようとして相沢祐一を譲ったみたいだけど、邪魔なら消しても良いよ)
「ううん、いいの、お姉ちゃんとは自分で決着をつけるから」
 そこで「今まで虐待された仕返しに、このストロングスタイルのマッスルボディで戦って、ローキックで立てないようにしてから脳も蹴って麻痺させ、ボディーへのストンピング攻撃で何度も地獄を味あわせて、ボディスラムやリフトスラムで弱らせ、魅せ技の雪崩式リバースフランケンシュタイナーで破壊してから、ネックハンギングツリーで処刑してやる」と言う声も聞こえ、月影先生みたいな髪型になって「栞、恐ろしい子」と思う天使の人形だった。
 そこで何人も固まったままの食卓に「毒物」が出され、思わず叫んだ佐祐理。
「一弥っ、食べちゃダメっ!」
(分かってないな、ぼくはもう魔物なんだ、人間の食べ物だけで、お腹がふくらんだりしないよ)
 一弥も天使の人形も、人の形をしている沢渡真琴も、謎ジャムに似た成分を多量に含んだ毒物を、平気で平らげた。
「お腹いっぱい、もう眠い」
「貴方の部屋はそのままにしてますよ、パジャマに着替えてお布団で寝なさい」
「うん、あり、がとう……」
 また感謝の言葉を言えなくなった真琴は、魔物たちを従えて二階に上がって眠ろうとした。

「ただいまーー」
 そこで再び玄関が開き、今度こそ名雪が帰って来た。その瞬間、天使の人形も一弥も、存在を消されるように気配が消え、部屋の時間が動き始めた。
「よく帰って来てくれました、助かりましたよ」
 名雪が帰って来るまでの時間を稼げた秋子は、冷や汗を拭って娘を迎え入れた。
「へ?」
 自分が何をしたのか理解できない名雪は、リビングに大量にいる女達と、帰って来た邪魔者を見て驚いていた。
「あれ? 真琴と真琴とみんなに川澄先輩(ポッ)
 憧れの川澄先輩までが恋敵になったのも知らず、顔を赤らめてしまう哀れな名雪ちゃん。近くには「香里に匹敵するガチの人」がいたので、「全員祐一の女」とは思わず、一体どんな種類の面子なのか戸惑った。

「一弥? 一弥はどこ?」
 先程まで強く感じていた弟の気配を見失い、眼の焦点をあの世に合わせたまま、とりあえず祐一に駆け寄って力強く掴んで、心の平衡を保とうとした佐祐理。
「名雪の気配を感じて逃げたようですね、おかげで助かりました」
 秋子の言葉は受け入れたが「名雪がいると一弥が消えて
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