29秋子ちゃんvs佐祐理、真琴の帰還
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らされていない「丘から降りてきた妖狐」がいると聞いて、震え上がっている真琴一行。
祐一の周りには災厄の元凶でもあり、幸運の元でもある「純血の妖狐」が降臨していて、災厄を起こそうとしたのか、丘を下って人に変化して、嫁となって子を孕み、幸せに過ごしたのか考えたが、この家にはもう「沢渡真琴」なる妖狐は存在しない。
川澄家が起こした災厄を思い、壮絶な天罰の予感に身を引き締めた。
「あの、相沢くん…… 私と同じ名前の女の子、いつごろ来て、どうなったの?」
真っ青な顔色のまま、絶望的な予想を振りきって、震える声で質問した真琴。
マヌケな祐一は、自分の浮気を攻められていると勘違いして、口篭りながら説明した。
「え? ああ。あいつは七年前に拾った子狐で、怪我が治ったら走り回って飼えなくなって丘に返したんだけど、今年の一月に恨んで化けて出てきやがって」
それが復讐なら間違いなく災厄が起こるが、怪我して動けない所を保護されたのなら、寿命が尽きた頃に恩返しに降りて来て、嫁になろうとした可能性もある。四人は恐ろしい話の続きを緊張して待った。
「こっちに遊びに来る前にお別れした「初恋の女の子」の話もしてやってたから、その子の名前を名乗って来たんだ。あいつバカだから夜中に俺の部屋で花火したり、大変だったんだ。ほら、夜に学校に来て、シーツ被って脅かそうとして、もう少しで舞にぶった切られる所だったアホだよ」
マヌケな恋人は、自分のご機嫌を取るためにリップサービスしたようだが、それが嫉妬や「入れ替わりたい願望」なら、災厄の矛先は間違いなく自分になる。
血の気が引いた真琴は凄惨な自分の未来を予想して目の前が真っ暗になり、貧血で倒れそうになったが何とか踏み応え、逃走するために鞄から謎ジャムと同じ味がする秘薬を出して、一気に飲み干した。
「少女漫画とか好きな奴でさ、お別れの前に丘の上で結婚式の真似事もして、ヴェールだけ買ってやったんだ。そこで消えてしまって、今は行方不明なんだよ」
結ばれなかったとしても思いを遂げて、幸せな一ヶ月で寿命を使い切り、人魚姫のように泡となって消えたのなら災厄は起こらない。真琴一行はようやく落ち着いた。
「ソウダッタノ……」
歯の根が合わないまま震え、何とかカタカナ言葉を振り絞った月宮真琴。沢渡真琴侵攻と災厄の恐怖は無くなったかに思えた。
「あの子は消える前に天使の人形君が捕まえて生かしていたようです。今、ここに向かっている所ですよ」
「「「「いやああああっ!」」」」
いつも冷静な真琴他三名が、落ち着いた瞬間に秋子から「あたしメリーさん。今あなたの家の前にいるの」みたいな話を切り出され、一斉に席を立って、お小水などチビりながらダッシュで逃げ出そうとした。
「怖がらないでいいんですよ、あの子はそんな悪い子じゃないですか
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