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KANON 終わらない悪夢
28新興宗教
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されて自分たちの身も危うい。
 真琴一行は佐祐理に一手先を読まれて極太の釘を射されてしまったのに気付いた。
「え? あれ? 大丈夫みたい、最初はちょっと驚いたけど、香里が言ってたみたいに相棒が一緒にいてくれる感じよ」
 特に幸せな出来事がなくても、何の後ろ盾も無くても喜びに満たされている真琴。確かに祐一と結ばれて、佐祐理お姉さまとも結ばれて幸せ一杯なのだが、それ以上にドーパミンが出続けて苦しい日常から開放されていた。
 心の中に舞の使い魔がいても、考えている内容のプライバシーはある程度守られているようで安心する。
 しかし体とか胸とか股間とかのプライバシーは守られておらず、明るく楽しい舞お姉様のテクニックで魂までペロペロされて天国にイカされたり、「信じて送り出したお姉さまに、フタナリ舞お姉さまのプレイにドハマリして、アヘ顔ピースで写メを送ってしまいそう」なのはプライバシーの問題なので他の三人には隠した。
「貴方も舞の魔物に体を強化してもらいなさい、もう寿命を気にすることも無くなって、誰にも気兼ねせず自由に生きられるんですよ。さあ、貴方は一弥に何をするように言われて来たんですか?」
「はい、お姉さま」
 佐祐理に問いつめられると、真琴は自分の鞄を漁り、一つのパンフレットを出した。それは建設中の大きな宗教施設の写真を表紙にした、悪い噂の絶えない新興宗教の物で、「月宮稲荷神社総本山」と書かれていた。
「エ? コレッテ?」
 奪い取るように受取った祐一がパラパラとめくっただけで、献金などスキャンダル塗れの地元国会議員の祝辞や、広告塔に使われているイカれたスポーツ選手や芸能人の信者が成功体験を語る、胡散臭い内容満載のパンフレットだった。
「もう私達と相沢くんの仲だし、お姉様にも教えてもいいよね」
 その中で「教主様」として紹介されている女性は「化粧や口紅さえ不浄」と言いたげに白装束に袴姿なのはまだ良かったが、何となく「年をとった真琴そっくり」なのが気になり、隣のページの「猊下」という奴がネックレスだか宝玉の付いた数珠でジャラついていて、手首や指も装飾品だらけ、背中には羽根まで背負って、如何にも金の亡者の新興宗教関係者なので気分が悪くなった。
「今から八年前、「教主」であるお母様が「天啓」を受けて実家に帰った後、「開祖」として新しい教義を唱えて開かれた宗派です。「天孫として降臨」なさった方々の末裔、相沢くんや秋子様のような「神通力」を持つ方々を「現人神として崇拝」し、病気など癒やしを求める方だけでなく「一切衆生を救済」して行こうとする、暖かい教えを求める者の集まりです」
 どんどん危ないセリフが積み重ねられ、今すぐにでも回れ右して逃げ出したくなった祐一。
 この子の両親の離婚原因は明らかにこれで、夢か妄想で「変な声」を聞いちゃって宗教にのめ
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