27佐祐理のお仕置き
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なる。
「佐祐理も今までそうしてくれてたのは弟の霊だと思っていました。でも生前虐めていた相手がそんな親切にしてくれる訳無いですよね? さっき真琴や舞が言っていた天使の人形、以前会ったことがあります。七年ぐらい前、弟の霊が夜中に帰って来ていた頃、お別れに来た時に一弥を連れて来てくれた子がいました。その子の頭には輪っかが乗っていて、背中には羽が生えていました。あの邪悪な感じがする子が天使の人形だと思います、佐祐理が手首を切った時も、それから力尽きた時も、「誰かの命を刈り取って盗んで」、与えてくれた子です」
理解力が低く、妖狐や魔物の知識が一切無いはずの佐祐理が、何故か饒舌に知識や経験をひけらかす。それは魔物が持っている知識なのか、力や術で知り得たことなのか、誰よりも明確に詳しく語った。
「貴方達の命も、佐祐理には縞模様か年輪みたいに見えます。それは貴方達の命が誰かの命のつぎはぎだからです。命を盗んで接ぎ木みたいにして生かして貰った弱い木、すぐに枯れてしまうプランターの植物の面倒を、誰かがずっと見てくれたんです。もしそれが災厄だと言うなら、その行為を裁いて滅しないといけないと言うなら、佐祐理は天使の人形くんの味方をします、私達はすでに罪人で、同じ罪によって生かされているからです」
色々と身に覚えがありすぎる三人も、佐祐理の言葉によって夢の記憶を呼び覚まされ、自分の命も既に他人の命を狩って与えられて生き延び、罪に穢れているのを知った。
「その命を繋いでくれたのは誰ですか? 私達の隣に別のプランターや鉢植えがあっても驚きません、むしろそんな姉妹がいるなら助けてあげたい。あゆって言う子や、他にも魔物がついて命を繋いでもらっている子が二人いるはずです、佐祐理もその子を探します、きっと私達と同じ境遇の子が困っているはずですから、貴方達も手伝ってくれますね?」
「…分かった」
「はい」
佐祐理の言葉には何でも従う舞と、祐一や天使の人形、魔物に救われた栞は即答した。
「私も、相沢くんと佐祐理お姉さまに従います」
一旦間を置いたが、自分の命を繋いでくれた存在や、同じように困窮している姉妹がいるなら、邪魔するのではなく救おうと思う真琴。
「佐祐理の中の舞も力を貸してくれるそうです」
元々天使の人形側である、舞の左足も協力を申し出たので、悪魔のような笑顔で笑う佐祐理。ここにいる一同は災厄の中心になった。
そこで気絶した振りをしていたザコ1号は、聞いてはいけない言葉を聞いてしまった。妖狐の一族として、災厄が起これば各家の垣根すら超え、その元を断たなければならない。
しかし真琴を含めた目の前の数人は、既に命を食わされた当事者で罪人。その一同は天使の人形と呼ばれる災厄の中心に加担して、あゆと呼ばれる少女や他の使い魔が憑いた相手を救おうとしている
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