26佐祐理の初体験
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り、夜中に這い回って誰かの命を吸って回るのが普通で、救うために取り憑くなど有り得ない。
「ああ、香里も誰の命令か言おうとしてたけど、口だけは動かしてたな、読唇術でも使えれば分かるんだけどな?」
「…天使の人形」
「そう、そんな感じで喋ってた。なんで分かるんだ? 舞」
意外な所から香里の唇の動きを教えられ、舞は読唇術も使えるのかと思えたが、もっと意外な話を聞かされる。
「…学校で香里さんが倒れた時にもいた。五時間目にも後ろの壁の中にいたし、さっき香里さんと戦った時にも左手を狙ったら止められた。いつも「うぐ〜っ」って鳴く魔物と一緒にいる」
「え? あゆ?」
古今東西、そんな声で鳴く魔物は一匹しか知らない祐一。
「じゃあ、黒幕はその、天使の人形って奴で決まりだな。そいつは「うぐ〜っ」って鳴く奴に命を食わせるために集めてると、これはもう「災厄」だな」
「他の家にも応援を呼ばないといかんな」
『ええ』
伝承にある記述から、変数xとyを埋めてくれたザコ1号。付き人も真琴も災厄認定して他家の応援すら必要と言い出した。
「伝承じゃあ、術者が狂う時ってのは相場が決まってるんだ。自分の子供や嫁さんが死んで、それを許せない奴らが命を集めて、他人の命の継ぎ接ぎでも、子供や女を生き返らせようとするんだ。相沢、その「あゆ」って奴、もう死んでるぞ、生きててもまともな状態じゃない。もし会ったら一目散で逃げろ、一言も話すんじゃないぞ」
「あゆが……」
一月には何度も商店街で会い、タイヤキを盗んでいた少女。栞との出会いの切っ掛けになり、木にぶつかって雪を落とし、栞を生き埋め?にしようとした少女。
「栞、あの時の子だ。お前が買い物してて、木にぶつかって、お前を雪だるまにしようとした子だ」
「え? あの時の?」
「まさか、もう話しちまったのか?」
それが大きな失態だとでも言うように、驚きの表情で聞くザコ1号。
「ああ、商店街でタイヤキ盗んで俺にぶつかって来て、俺も仲間にされて一緒に逃げた。昔の知り合いだから、七年ぶりの再開だって言ってて」
「私は道を聞かれました」
それも大変な失態だと言うように、「やっちまった」と言いたげに絶望の表情をされる。
「お前らはそこで縁を作られたんだ、他人には見えない化物に、術を掛けられて見えるようにされて、その声に答えた。妹ちゃんが狙われたのもそのせいだろう。香里だってその後どこかで目を付けられたんだ」
あのあどけない少女、それも自分より幼いと思える子が魔物とは信じられない栞だが、現実に自分の体は強化され、多少の怪我や病気では死なない体にされている。
祐一の力を受け止めるタンクも大型化され、大きな術を連続で使っても倒れたりしない。姉も佐祐理も同じように強化されているのが予想できた。
「それ
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