新暦79年
覇王襲来
memory:30 試合前と試験前
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
何かを考えていた。
しばらくすると、頭の中がまとまったのか、真剣な表情でミウラを見つけた。
ミウラは雰囲気にのまれたのか、おどおどしていた。
「……一回、俺たちの事…お兄ちゃん、って呼んでみてくれないか?」
……は?
「お、おおおお兄ちゃん!?」
「そそ、お兄ちゃん」
どうやら、先ほどの真剣な表情は飾りだったようで、実際はどうでもいいことを考えていたようだ。
だけど、雰囲気にのまれていたミウラは声を上げて驚いた。
「なんで私まで? というよりいきなりどうした」
「いやな、ミウラっちゃんにお兄ちゃん、って呼ばれたことないなと思ってな。ほれ、道場のやつらからは初めの頃とか呼んでたじゃん。なのにミウラっちゃんだけだぞ、俺たちの事お兄ちゃんって呼んだことないのは。まぁ、年が近かったというのがあっただろうけど」
「……そうだっけ?」
思い返してみると…………ああ、確かにないね。
最初っから悠莉くんって呼ばれてる。
思い返しているうちにライがミウラに詰め寄って何かを言っている。
詳しい内容は聞こえないけど、「はぅ」やら「うぅ〜」などミウラの声からライが説得? しているんだろう。
それが終わったのか、ライはミウラから離れて私の隣に立つ。
ミウラは顔を俯かせてもじもじしている。
時折、私の方を見ては顔を赤くして、また俯く。
何度か繰り返していたが、覚悟したのか、小さく息を吐いておずおずとながらも上目づかいで、
「ゆ、ゆうり…お兄…ちゃん……」
…………っ、これは……
ミウラのそれを見て、ものすごく保護欲に駆られそうになっていると、隣のライがニヤニヤしてきた。
「……なんだよ」
「いやいや、何でもないさ」
「というか、何で私だけなんだよ」
「それはあれだ。ミウラっちゃんが悠ならって言ったからな。なっ、ミウラっちゃん」
私の時と同じようにニヤニヤ顔でミウラへ声をかける。
するとミウラは完熟したトマトのように耳まで真っ赤にして完全に俯いてしまった。
それを見て満足そうに笑みを浮かべ、悪だくみな顔で愛機のリトミックことリトに確認を取る。
「リト、今の記録してるよな?」
【yeah】
……は?
ライとリトの会話に一瞬耳を疑う。
「Good Job,リト」
……一瞬ミウラもライを見た気がしたけど……気のせい?
「悠、目覚ましボイスにどうだ? ほしかったらやるぞ?」
……なんか一気に萎えた。
「お前……悪趣味だな」
視界に入っている俯くミウラはプルプル震えだした。
ただ、どことなく様子がおかしいと気づいて声をかける。
「ミ、ミウラ……?」
「……ぃ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ