新暦79年
覇王襲来
memory:30 試合前と試験前
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の言葉をスルーすると、ライはこの部屋にいるもう一人に話しかけた。
「ミウラっちゃんの方はどうだ? 順調か?」
「……え? あっ、うん。ボクは今のところ大丈夫。もう少しでキリがいいところだから」
クッションの上にちょこんと座るミウラ。
制服姿なのは学校から真っ直ぐ来たからで、ライも同じく制服だ。
私は普段着に着替えるけど……。
「そんじゃ、そこが終わったら一旦休憩にしようか。飲み物とお菓子でも持って来るよ。ライはミウラのことお願いな」
「おうよ」
ライの返事を聞きながら部屋を出た。
お菓子を持って戻った頃にはミウラも切り上げていて、テーブルの上にあった教科書やらノートの類はきれいさっぱりなくなっていた。
その光景に何となく苦笑しながらお菓子を並べて休憩に入る。
「ふぅ、それにしても意外。悠莉くんはともかくとして、ライくんって頭よかったんだね」
「確かに意外だろうね。普段がああだからそう思うのは正しいよ」
「オイ、どーいう意味だよそれ」
「あ、あははは……」
「さあね」
ミウラと一緒に目を逸らす。
「はぁ……、別にいいけどよ。普段の俺を見てたらそういう感じに見えるだろうし」
と、頭を掻きながら態とらしく拗ねた口調で呟く。
それを見て、ミウラが困った顔であわあわしだしたので助け船を出す。
「ほら、ライもそこまでにしとけよ。大して気にしてないだろ」
「……えっ」
「まーな。ミウラっちゃんの反応がいいもんだからついな」
すると、ミウラはホッとしたのか、一つ息を吐いた。
「よ、よかった〜。ボク、ライくんが本当に傷ついたかと思ちゃった。……ホント、ごめんね」
……おお……ミウラめっちゃいい子だ。
「……あ、ああ。……それにしてもミウラっちゃんは……」
「ライくん?」
どうやらライも同じようで、その顔から何を言うのか想像できる。
「ミウラっちゃんはホント、いい子やなぁ。リオとは一味違うぜ」
「えええぇぇぇ!?」
やっぱり……。
「普通リオなら罵声と一緒に拳やら蹴りやら飛んでくるのにミウラっちゃんときたら……どう思うよ悠!」
「……ここで私に振るのか? でもまあ、私もミウラは優しい子だって思うよ。自分のことを後回しにしてしまうのが玉に瑕だけど」
「悠莉くんまで!?」
そんなことないよと言わんばかりに手をぶんぶん振っていた。
ライはそんなミウラをよそに続けた。
「そんなことあるって。ミウラみたいな子が妹だったらと思うと…………ん?」
「どうした?」
急に黙り込んだライにミウラと首を傾げる。
ライは何か引っかかる事でもあったのだろうか、うんうんと唸りががら
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