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夏休みが終わって
第二章
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「じゃあ今日はもうな」
「はい、お休みですね」
「お風呂も入ったしな」
 球場の方でだ。
「そうするな」
「それでは」
「母さんもな」
「私も寝ます」
「一緒に寝ような」
 夫婦としてとだ、未森は小柄な妻に言った。自分より四十センチ以上小さく童顔で中学生にも見える彼女に。
「今日も」
「それじゃあ」
「晩御飯食べて歯を磨いてな」
そうそう、今から出しますね」
「ああ、頼むな」
 こうしてだ、未森は妻の出した肉や野菜がバランスよくあるしかも大量の料理を食べた。試合前は動きが鈍くなるので食べない主義だ。昼は相当に食べるが。そして試合が終わり家に帰ってだ。
 食べて歯を磨いて妻と共に寝た、その翌朝だ。
 娘の詩依は通っている小学校の制服に着替えてだ、家のリビングに出てきていた。そして朋子にこんなことを言われていた。
「今日からよね」
「はい、学校ですよね」
「夏休みも終わってね」
 朋子は楚々とした整った顔立ちの娘に言った、夏服白いブラウスと黒いスカートに丸い帽子という小学生らしい可愛らしくかつ清潔さがある制服姿の娘に。自分によく似た顔で髪型も同じ黒のロングヘアにさせている。
「いよいよね」
「残念です」
 ここでだ、朋子は俯いてこうも言った。
「夏休みが終わって」
「そうよね、お母さんだってそうだったわ」
「そうなんですか」
「いつも夏休みが終わるとね」
 その時はというのだ。
「いつも詩依ちゃんみたいに思ったわ」
「そうだったんですね、お母様も」
「ええ、けれどね」
「はじまったからにはですね」
「二学期がね、だったらね」
 それならと言うのだった、娘に。
「頑張ってきてね」
「学校をですね」
「それでね、ピアノもよ」 
 こちらもとだ、娘に優しい笑顔で話した。
「頑張ってね」
「夏のコンクールは入賞出来ましたけれど」
「これで安心しないでね」
「もっとですね」
「そう、頑張ってね」
 つまり練習に励んでというのだ。
「次のコンクールもよ」
「入賞ですね」
「出来なくても自分が満足出来る位にはね」
「出来る様にですね」
「なるのよ、自分で納得出来ないと」
「優勝しても」
「そう、意味がないから」 
 娘にいつもこう言っている、幾ら成績がよくてもそれで油断しないでそのうえで納得出来ないと駄目だとだ。
「今日もピアノ教室があるから」
「そちらも行ってきます」
「そうしてね、ただね」
「はい、学校の授業が終わったら」
「すぐに連絡してね」 
 母は娘に注意する様にして言った。
「そして校門で待っていてね」
「ピアノ教室まではですね」
「そこまでもお母さんが車で送るから」
 そうするからだというのだ。
「行き帰りはスクールバスが出ててね」

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