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KANON 終わらない悪夢
24舞と佐祐理
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、香里は向かってこようともせず、理想の彼氏像を作って浮気を信じようともしない。それより栞の方が今の話を聞いてドス黒い感情を増幅させているので、この辺りでやめておく事にした。
『妹ちゃん、これなら香里は潰すまでもなさそうね』
「そうですね、今のままなら祐一さんと会話もできそうにありません」
 五時間目までの強大な力を発揮できず、「潰すまでもない」相手として処理されてしまった香里。そこで真琴は、今必要な情報を引き出すのを優先した。
『じゃあ、『私達がいない間、何があったのか思い出して、正直に話して頂戴』、香里』
 目を見開いて香里に目を合わせ、普通より強めの術を掛け、使い魔が入っていた間の記憶や、どうやって抜き出したのかを思い出させる。隣で栞が聞いているが、既に関係者で昼まで使い魔が憑いていた当事者。祐一がどんな特殊な力を使ったかを知っている本人なので構わず聞いた。

 舞の家。
 祐一が風呂場から出ても、舞はバスタオル一枚で鏡に向かい、濡れた頭をハンドタオルで熱心に、相変わらず乱暴に拭いていた。そのままだと鳥の巣のような髪型になりそうだったが、手櫛ですいて髪留めを巻いただけで、いつもの舞の髪型になった。
「俺にもバスタオル貸してくれるか?」
「…はい」
 当然のように自分に巻いていたバスタオルを外し、手渡される。
(いいんだ……)
 風呂場と同じように裸体を見られても平然として、まだ体が濡れているのに、下着も着けず、部屋着のくたびれたジャージを着る舞。「体が濡れているのでベタベタして気持ち悪い」という感触すら無いらしい。
 祐一もバスタオルをクンクンしてから自分の体を拭き、佐祐理が突入して来た時に脱走できるよう、Tシャツと下着、ズボンまでは履いて、上着とシャツ、大切な舞画像入りカメラを持って舞に続いた。
「…祐一」
 舞の部屋に戻ると、すぐにしがみ着かれ、震える両手で背中に爪を立てられた。
「…あの子に会いたかったのは魔物の私だけじゃない。私だって、ずっと、ずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと……」
「舞っ」
 止まらなくなった舞を元に戻そうと、大きな声を出して、肩を揺らす。
「ずっとっ! 会いたかったのっ!」
 その狂った目は、祐一だけを見て、祐一だけを求めていた。まるで何かの中毒患者のように体を震わせながら、溢れる涙を拭おうともせずに。
「そうだったのか、悪かったな。俺、7年前の記憶が無いんだ」
「7年じゃない、10年よ」
 香里や真琴(本物)より怖い、ヤンデレーなお目目に見つめられ、またオシッコをちびりそうな祐一クン。
 舞を揺り起こしていたはずの祐一は逆にガッシリと肩を捕まれ、次第に壁に追い詰められて行く。腕力の方も、美坂姉妹を合わせたぐらいあるので、逃げる事
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