暁 〜小説投稿サイト〜
もう一人の八神
新暦79年
覇王襲来
memory:28 覇王と影
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女を解き放つにはノーヴェさんが、ヴィヴィオが適任なんだよな。二人と関わって、いい方向へと彼女が変われることを願うばかりだね」

……しっかし、このまま逃がすのはいただけないかな。
これ以上こんなことしてほしくはないし……ノーヴェさんが何かを仕込んでいるようだったとはいえ、こっちも接触するかね。

-side end-

-side イングヴァルト-

体を休めるために一度戻ろうとした時、コツン…コツン…と足音が近づいて来る。
辺りを見渡しても何も見えない。
けれど、夜の街に響く足音は次第にその音を大きくして、ゆっくりと何かを視覚できるようになり始めた。

暗闇の中から浮かび上がって来たのは一人の少年…少女? どちらかよくわからない。
見た目から歳は私と同じくらいだろうか。

寒色系の服装で辺りと同化しているため、はっきりとはわからないが、おそらくこの人は……強い!
私の本能がそう叫ぶ。

「あなたは一体……っ」

私の質問に答える様子はなく、ただジッとこちらを伺うだけ。

「……用がないならそこをどいてください。私は行かなければならないので」

戦ってはみたい、ですが先ほどのノーヴェ・ナカジマさんの一撃が効いてきている。
この体は強いはずなのに……私の心が弱いから……

そんなことを考えていると相手が構えを取った。

……っ、どうやらやらなければいけないようですね。

こちらも同じように構えを取る。

「……確認。覇王で襲撃者?」

「……ええ。覇王と名乗っていますし、傍からはそう見られるかもしれません」

「……そう。なら、行く」

合図が聞こえたと同時に相手の姿がぶれた。

「……っ!」

危険!

頭で考える前に咄嗟に体が反応するままその場から離れた。

刹那に遅れて先ほどのいた所に相手の足が蹴り穿たれていた。

しかしそれで終わることはなく、今度は全身をしならせるようにして、ムチのような蹴りを放たれる。
それにどれだけの威力が込められているのか、重い風切り音が耳に届いた。

蹴りの次はパンチやら掌、肘打ちや膝蹴りなども出してくる。

「はあっ!」

防ぎ、避け続けるわけにもいかず、短期戦に持ち込むべく一気に攻め立る。

しかし、

「……隙、だらけ」

「っ!?」

いつの間に!?

気付けば影のように私の動きを合わせ、背後をとっていた。

「……これで、終わり」

刹那、衝撃が襲い、私は意識を失った。

-side end-

-side other-

「……これ、どうしよう」

無表情で倒れた相手を見下ろしながら呟く。

「姿、変わった。魔法、解けた? これ、本当の姿?」

見下ろ
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