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相良絵梨の聖杯戦争報告書
米国大使館対盗聴防止貴賓室
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 具体的に言えば、一日で地中海からこの日本に飛行機でこれるぐらいには。
 で、サーヴァントは召喚時にある程度の現代知識の補正を受けるそうですよ」

「つまり、主無しのサーヴァントがこの国にやってきている可能性があると?」

「低くは無いでしょうね。
 こういう野良サーヴァントは魔力が切れる前に、別の魔術師と契約を結ぶことで戦争を続行する事ができます」

 歩く時限爆弾がこの国をうろついていると言っているようなものである。
 私から、若宮分析官に話をあげたら確実にケジメ案件である。
 アンジェラ書記官が露骨に悪い顔をして何か罵倒しているが聞かなかったことにしよう。

「戦争なんてものは、開始前の準備で大体の結果が決まるものです。
 これはその準備段階の小競り合いというものになるでしょうね。
 で、虫は払っています。
 見なかった事にしましょうか?」

 露骨な裏取引の提案にアンジェラ書記官がしばし考え込む。
 握っていてもいずれ分かる情報だが、今この時点で黙る事についてのメリットはアンジェラ書記官側には多分あるのだ。
 だからこそ、別部署である私を呼んで情報の確認をさせたのだから。

「私にも報告義務がありますので、二日。
 それが限界ですが、その二日分の貸しに対してそちらはどれぐらいの値段をつけて頂けるので?」

 アンジェラ書記官が嘲笑う。
 背後に殺気を漂わせて私を睨みつけるが、悲しいことに私も似たような顔をしているのだろう。

「いいわ。
 あなたとても良い。
 ねぇ。
 こっちに来ない?
 我が国は才能があって星条旗に忠誠を誓えるならば、誰でも受け入れるわよ」

「あいにく、私は占い師をしながら平凡に恋愛するのがささやかな願いなので。
 世界の危機とか、スパイ映画の人生はとてもとても」

 そこで互いの殺気が消える。
 値段をつけ終わったから、あとは取引の時間だ。

「こちらの要求はささやかなものです。
 こんな事をやった馬鹿をそちらが押さえつけられるのかと、そんな馬鹿がこの国に入って同じことをしないかの二つだけ。
 私の立ち位置は魔術協会ではなく、日本政府の代弁者という事にしておいてください」

 ただの女子高生が日本政府の代弁者とは大きく出たものだが、今回の聖杯戦争の監視についてる若宮分析官が内調出向だから、彼女に話せばもっとたちが悪くなるとも言う。
 で、私そのものより私を送り出した姉弟子様の顧客が与党の大物議員だから、証拠を残せない裏の取引においてはったりはかなり有効な武器である。

「分かりました。
 この件は、日本政府の非公式の抗議として我が国の情報機関共同体に正式にあげさせて頂きます。
 それと、この聖杯戦争における日米共同の監視と連絡
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