23舞VS香里
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、争う意味なんて無いんだ」
「……やっぱり嫌」
「じゃあ、俺の両手を切り落とすか? そうなったらもう俺は生きていけない」
「それはもっと嫌っ」
また顔を背け、キスを嫌がるが、舞が一番気にする事を言ってやる。
「またお母さんの具合が悪くなったらどうする? もし佐祐理さんが怪我や病気にでもなったら、救えるはずのお前に力が無いんだぞ、どうする?」
「ん〜〜っ」
その状況を想像し、苦痛の悲鳴を上げる舞。次第に祐一に視線を戻し、承諾するような表情になった。
「…でも、そいつらが私に帰って来たら、何をするか分からない、また人の命を吸いに出歩くかも知れない、ここで暴れるかも知れない、そうなったら祐一が私を殺してくれる?」
木刀と剣が入った鞄を渡し、自分が魔物になった時は止めを刺して欲しいと言う舞。
「こいつらは、「そんなことしない」って言ってる、心がつながってるから嘘じゃない、もうそんな必要が無いんだ、お前の体から養分を貰えるし、自分を傷付ける意味もない」
「…本当?」
そう問うと、祐一の目も心の声も本当だと言っていた。安心した舞は祐一に体を預け、正面を向いて目を閉じた。
「いいんだな? 右手と左手を返すぞ」
舞は顔を赤らめたまま、小さく頷いた。
「じゃあ、顔を上げて、こっちを見てくれ」
怯えた小動物のような舞の顎を取り、上を向かせると、今度も通路を作るだけの軽いキスをした。
「…うっ」
暫く抱き合って唇を離し、顔立ちの良い横顔を見ているうちに舞にも異変が起こった。
「うっ、ああっ!」
左右の腕を押さえてその場に座り込み、戻って来た力に耐えている舞。いつものように、「手負い」や「瀕死」にした時の、「骨が中から腐って行くような感じ」と違い、今までの両腕の傷が、全て癒えて行くような感じがした。
「…こ、これって」
幼い頃出会った思い出の少年と巡り合い、何もかも繋がって得た暖かい感触も一緒に、体の中を駆け巡る嬉しい感触がした。こうして長年の戦いにようやく終わりが訪れ、これから左右の腕は舞の戦いに必要な力となった。
(おめでとう、君は和解できたみたいだね)
舞の力が増しても、それを祝っている天使の人形。舞の5分の2は思いを遂げた上、自分の体に戻った
「大丈夫か、舞?」
『ねえ、あの子、祐一なんでしょ?』
「え?」
両手を押さえ、胸を抱くようにしている舞。まるで発情したように息も荒く、顔も紅潮している。先ほど香里の魔物が言った通り、背中を押してくれたので今すぐ抱いて欲しがっているようにも見えたが、その表情と声に次第に狂気が混じってくる。
『あの麦畑で一緒に遊んだ男の子、祐一なんでしょ? 答えてっ!』
選択肢
1,うるさいので適当に「そうだ」と答えて、リノリウムの床に転がして足を持ち上げパン
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