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KANON 終わらない悪夢
23舞VS香里
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れ以外、楽しい記憶なんて何も無い」
 そこまで言われ、今の人格は魔物だと思えた。香里と会うなら間違いなく名雪が一緒にいて、お互い紹介されて名前ぐらいは聞いている。
「忘れてて悪かったな。あの頃、何かがあって、俺もお前みたいな使い魔を出したらしい。でも、その使い魔が何をしたか、俺は覚えてないんだ」
 その言葉を驚きの表情で聞いている二人。祐一は確かに「使い魔を出した」と言った、自分と同じような魔物を。
「「どうして、祐一が?」」
 舞の別人格でも、同じ反応を示し、声をハモらせる二人。
「普段の香里なら言えなかったけど、今ならいいか。俺達って、この辺りの伝承にある妖狐の一族だったんだ」
「「え?」」
「香里と栞の病気が治ったのもそのせいだ。まあ、病気の原因も、妖狐の血が薄れたかららしいな、叔母さんが言ってた実家も、妖狐の家系なんだろ?」
「詳しくは知らないわ、母さんも     も、そこまで教えてくれなかった」
 天使の人形について、語る事は許可されていない左手。その正体や、祐一の出生の秘密までは聞かされていない。
「でも、香里が病気になったのって、お前が取り付いたからか?」
「違う、この女、祐一の事ばっかり考えて、力を使い過ぎてたから、いつ倒れてもおかしくなかった。だから、あたしが     に言われて、この体に入って命を繋いでた」
 舞の魔物は、香里や栞の命を奪うためでは無く、救うために憑依させられていた。
「あたし達も体が欲しかったし、体があったら、祐一に抱いて貰えるから」
 恥ずかしそうに、祐一の胸の中に顔を隠す左手の魔物。
「じゃあ、香里の意思は?」
「この女、祐一に告白する勇気が無かったから、あたしが背中を押してやったの。そしたら止まらなかった。ふふっ、笑っちゃうでしょ、自分があたしに支配されてる感じがしたら、祐一を押し倒して、どんな恥ずかしい事でもしてた。泣き叫んで告白して「帰らないで」ってしがみ付いて、あたしの力まで引き出して、妹から祐一を取り上げようとしたのよ」
 香里の豹変は、この辺りにあった。いつもクールで自分を見せないはずの女は、誰かに操られていると思った途端、本性を現しても恥ずかしく無くなっていた。
「もう香里の体、治ってるのか? だったら体返してやってくれないか?」
「この女、あたしが抜けたら、また格好付けて、祐一の事「嫌い」なんて言うかも知れない、それでもいいの?」
「やっぱり本心は嫌いなのか?」
「そんな訳ないでしょ、嫌いな男にあそこまでしない。この女、妹が大事でしょうがないの。でも心が魔物だったら奪える、押し殺してた欲を剥き出しにして、夜になったら喜んであたしに体を差し出してたわ。毎日「祐一に抱かれたい」って泣いてたの」
 泣いていたのは左手も同じだったのか、涙声で訴えて、表情も同調して
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