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KANON 終わらない悪夢
23舞VS香里
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に正確に読み、木刀で払う。
「くそおっ!」
 いつものように、力で捻じ伏せるのと違い、スピードとリーチだけで対抗しなければならない。香里の腕は、決定力の無い力で舞の足に巻き付き、せめて姿勢だけでも崩そうとした。
「くっ! おおっ!」
 そのまま転がって香里の横を通り過ぎ、不自然な体勢ながら体を起こし、腕を狙って斬りかかった。
「はああっ!」
 その一撃で、普通の女の細い腕なら粉々に砕け、下手をすれば潰れたはずだった。

(はい、ご名答、これは君の左手だよ)
「…お前はっ! 天使、の人形?」
 香里の腕を庇うよう、舞の木刀の前に出現した天使の人形。香里も小さな傷を負ったまま動けず、舞も木刀を引けなかった。
(そう、今は仮の姿だけどね、でもゲームオーバーさ)
「…何ですって?」
 天使の人形に警戒しながらも、その手が指差す先を追って、鉄扉の方向を見た舞。
「香里っ! 舞っ!」
 扉からは祐一の声が響き、二人の闘争心は一気に消えた。
(さあ、どうやって言い訳するのかな? それにどっちを信用するのか楽しみだよ)
「…待てっ!」
 また消えて行く天使の人形を追うが、すぐに闇に混じり、見えなくなった。
「お前らっ! 何してるんだよっ!」
 買い物袋を持ったまま走って来る祐一を見て、青ざめて行く舞。まさかあの距離を、こんな短時間で戻って来るとは予想もしていなかった。
 祐一も、ここ数日の危機で力が戻り始め、二人の只ならぬ雰囲気を感じ、通学時のような驚異的な速さで走り抜けたらしい。
「助けてっ、祐一っ! この人が急に襲って来たのっ、怖いっ!」
 予定通り、傷だらけになった自分を見せ、舞を通り魔のように言って、祐一の胸に飛び込んで助けを請う香里。
「…違う、その女は魔物。この地面とあの扉、人間の力で出来るはずがない」
 隠すように背後に木刀を下ろし、事実を説明するが、こんな話は到底信じて貰えない。舞は街を徘徊して狩りをしている魔物の探索を諦め、祐一の傍にいる魔物を追い散らそうとしたのを後悔した。
「やっぱりそうだったのか、香里の左手は舞の言ってた魔物」
「「えっ?」」
 香里の血が着いた木刀を持った舞を見て疑いもせず、あっさりその言葉を信じる祐一。
「どうしてっ? あたしの手こんなにされたのよっ、どうしてっ!」
「舞は意味も無くそんな事する奴じゃない、俺もお前と栞の片手だけ、凄い力だったから変だとは思ってたんだ」
「嘘よっ!」
「…祐一」
 言葉は少なくても、今の状況を見た上で、こんな自分を信じてくれた祐一に熱い物が込み上げて来る舞。
 しかし祐一は、香里が魔物だと分かっても平然として、胸に抱き止めたまま、いつものように頭を撫でていた。
「…どうして魔物だと分かっても、そうしてられるの?」
 女としても少
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