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KANON 終わらない悪夢
23舞VS香里
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里をお願いします」
「俺は、牛丼?」
 中庭に出るドアまで行くと、庭にも誰一人としておらず、三人だけになった。
「舞、どうしたんだ? 香里まで」
「いいのよ、あたしのアイスクリームも買って来て」
 急に雰囲気が変わった香里も、祐一をどこかに追いやろうとしていた。余り面識も無く、相性も最悪と思われる二人が、なにか話そうとしている。
(どうなってるんだ? こいつら仲悪かったはずだぞ?)
『…いいから、行って来て』
「あたしも川澄さんと、ちょっと話があるの」
 舞の言葉にも操られ、買いに行かないという選択肢を思い付けない祐一。
「そうか? じゃあ行ってくる」
 香里も祐一がいないと、泣いて喚いて、電話を掛けて来て「早く来て」と言われる数日だったが、何故か今は違った。そこで祐一は国道沿いにある牛丼屋まで走った。

「…やっと二人きりになれたな」
 香里を睨んだまま、鞄の中の木刀を握る舞。間合いを詰めて行くが、今の距離は既に魔物の腕の射程範囲。すぐに飛び退くか、かわせる姿勢も作っておく。
「何の事かしら? あたし、ソッチの趣味はありませんよ」
「…ふざけるな」
「まさか祐一を取られたからって、襲いに来たんですか?」
「…違う、その子の中から出て来い」
「さあ? 患者は外に出られないのよ、それに「敷地内」がルールじゃなかったかしら?」
 思わせぶりな香里の言葉を聞き、じりじりと距離を詰め、一撃を加えられる間合いに近寄って行く。
「何をするつもり? まさか病人のクラスメイトに斬り付けて、「手負い」や「瀕死」にでもするつもりじゃないでしょうね?」
 舞の殺気を受けても平然としている香里、そしていつも舞が使っていた、魔物に与えた傷を表す言葉も口にした。
「…もう間違いない」
 鞄から木刀を取り出し、香里に向けて構える。今までの躊躇を捨て、魔物を倒すための気合を込める。
「あら、今度は停学じゃ済みませんよ。警察に捕まった後、残りの私達はどうするつもり? うふふっ」
 このままでは、いつ佐祐理や祐一が襲われるか分からない。大切な場所を荒らす魔物も許せなかったが、自分の周りの大切な人を傷付けようとしている、天使と名乗る物も許せなかった。
「…はっ!」
「あははっ」
 香里は常人ではかわせない舞の一撃を軽々とかわし、人には飛べない距離を飛んで後ずさった。
「待てっ」
「ふふっ、ここなら敷地の中だからルール違反じゃないでしょ、こっちの方が思いっきりやれる」
 香里の左手が振り降ろされると、その先に伸びた見えない腕が舞に襲い掛かる。その一撃を打ち下ろし、屈んで力をためながら一気に間合いを詰める。
「はあっ!」
 常人なら心臓が止まるような突きを胸に叩きこんだが、やはり香里は倒れなかった。
「ふふっ、どうしたの? 胸なん
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