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KANON 終わらない悪夢
22奇跡の恋シーズン3(捏造編)
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かって叫ぶ女の一人舞台を、唇を噛み締めて見ざるを得なかった。

 その後も少々やり取りがあり、深々と頭を下げて拍手で教室から送り出される香里と、引きずられて行く祐一。カーテンコールが終わり、その後姿を追う女達と、長い鞄を持って歩いて行く舞。
 ここで「菫の花咲く頃」でも流れてダンスレビューでも始まり、後で着替えた香里と祐一が背中に羽根でも付けて登場しそうだったが、主役の二人は大勢に囲まれて見送られながら下校したらしく、対抗手段もない間に動くのは早計として、情報収集をして予定通り放課後に香里を襲撃することになった。
「ねえ、何があったの、聞かせてっ」
 お嬢本人や、付き人も知り合いに声を掛けて、香里が何をしでかしたのか聞き出そうとする。
「あの、香里がね…… やっぱり香里って凄いね、ううっ」
 役に立ちそうにない名雪を諦め、日本語が話せそうな相手を探していると、ペギラ(栞)と目が合った。
「昼休みに姉が来て、クラス全員を味方に付けました。反撃してみましたが敵わず、後日、この教室で姉と祐一さんの結婚式をして、クラス全員で祝福して、例の式をやり直すそうです」
 最大の敵は知能も戦力も高く、今までの香里の行動を簡潔に説明してくれた。自分たちが昼食時に争っている間、香里は京に攻め上り、天子様を擁して国家の玉璽を手にして、征夷大将軍の位を得て全国に覇を唱えたらしい。
 昼休みから五時間目にかけてに放送された「奇跡の恋シーズン2、たった一晩の初恋編」の破壊力は凄まじく、昨日聞かされた内容では結婚式などただの通過点だったはずが、妹や親友を裏切り、奇跡の魔法が解けた後に、ついに訪れた究極の到達点であったような嘘話が展開され、その代償として自分の命を絶とうとしたり、運命の腕時計がそれを阻止したり、約束の証を返そうとした所で友人達に止められ、「死が二人を分かつ時まで」に幸せな結婚式がとり行われるようになったらしい。
(よくもやってくれたわね香里、許さない、許さないっ)
 kwsk解説してくれた敵は、今では最大の協力者となり、まるで蘇秦か張儀のような縦横家の一人を味方につけ、香里に対抗すべく合従連衡する二人であった。
『香里を倒すまでは貴方とは味方です』
「ええ、そうですね、真琴さん」
 握手などはしなかったが、最悪の敵を倒すのは共通の課題だったので、即座に共闘が確認された。
 決戦は放課後、香里の病室に乗り込んで祐一を取り返し、二度と手出しをしてこないよう倒さなければならない、二人は情報交換後、自分の教室に帰って決戦に備えた。


(あれ? 変な組み合わせだな、さっきまであんなに仲が悪かったのに、女心はわからないよ)
「このまま仲良くなればいいのに」
(無理だよ、決戦は放課後、血を見せた奴が一番にやられる、残った二人で優勝決定戦だ)

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