22奇跡の恋シーズン3(捏造編)
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番組の直接対決は避けて欲しいものである。
『相沢くんは、名雪とも付き合ってるのは隠してたけど、私にはすぐに分かっちゃったの。だって、もう笑わなくなった相沢くんが、名雪にだけは無理して笑顔を見せたり、あの名雪が早起きして、お弁当まで作って来たんだもん』
まるで香里のように、タマネギでも装備しているのか、鼻毛でも引っこ抜いたのか、お嬢の涙は止まらなかった。
「そんな事になってたなんて、知らなかった」
「私達にも言ってくれたら、もっと応援できたのにっ」
クラスメイトの苦境に、何の手助けもしてやれなかったのを後悔する女生徒。それは勿論、本人がそんな苦境に陥っておらず、悪の秘密結社のメンバーと共に、栞や名雪への妨害工作だけ行っていたからである。
『いいの、このことは私の胸の奥にだけ仕舞っておきたかったの。事前に名雪にも、香里にも教えなかった私が悪いの、大切な初恋だから、自分だけの思い出にしたかったの』
「ワカル〜、超ケナゲ〜」
ここまでの嘘がスラスラと言えるクズ女の言葉を信じさせられ、分かりもしないのに、術に掛かって涙する女生徒達。隣の教室にいる祐一に、お嬢の言葉を聞かせてやりたいと思っている一同だが、この時間の祐一は、香里の嘘芝居に追い詰められ、苦しんでいる最中である。
『でも、二月から始業式まで、名雪は幸せそうだった、表には出せない親戚同士の恋でも、私の親友は幸せそうだったの。もう私っ、気が変になりそうだったっ、あの子と相沢くんが毎日一つ屋根の下で暮らしてっ、学校や部活以外では一緒に、ずっといっしょにイルナンテ』
自分を抱くようにして、ブルブル震え始めたお嬢を見て、あまりにも気の毒で目を逸らす者までいた。
もし自分の好きな男が、別の女と暮らしていると想像するだけでもおぞましかった。そして術に掛かり、「名雪とは何とひどい奴で、親友の恋を目の前で拐った憎むべき相手だ」と思わされた。
真琴(本物)も、この辺りは演技ではなく、自分が嫁ぐべき相手と言われていた男が、次々と別の女と仲良くなり、最短距離ではなくても、比較的近い場所にいたにも関わらず、見向きもされなかったので、おかしくなり始めていたのかも知れない。
「大丈夫? 辛かったわね、でも、もう思いは遂げたんでしょ? しっかりして」
「そんなに辛いならもう話さなくていいわ、終わりにしましょう」
どこかのバカが、一番オイシイ所で話を止めさせようとしたので、首を絞めてでも黙らせようとしたが、お嬢はその手を払い、聴衆のKWSKに答えて話を続けてくれた。
『いいの、もうその頃には私、すっかりおかしくなってしまってたの。だって始業式に妹ちゃんが退院して学校に来て、相沢くんに抱き付いた時の名雪の顔、あの顔を見て「ざまあみろ」って思っちゃったの、あんなに仲良くしてたのに、もうだめなんだ、私』
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