21最後の授業参観
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化」などと言う下世話な言葉でも、真実の愛の前では有効になるのだと認識され始めていた。
「でもっ、祐一は答えてくれたっ、病める時も健やかなる時も、「死が二人を分かつ時までっ」愛し合うって誓ってくれたのっ!」
「うわああああっ!」
香里の言葉と、余りにもいじらしい二人の愛の行為に耐えかねた女生徒数人と母親が爆発した。特に「死が二人を分かつ時まで」のフレーズがここまで似合う恋愛は見たことが無かったので、男子も数多く撃沈され、教室は再び香里に支配されて行った。
(ふっ、どうよこの脚本?)
先程栞が修復してしまった、涙の堤防の爆破に成功した香里は、余りの脚本のできの良さに、妹に直接聞きたい誘惑に駆られたが、終業の鐘が鳴るまで馬脚は現すまいと思い直し、時計を見て残り時間を計算した。
(ふふっ、もうすぐね、このまま逃げ切れればあたしの勝ちよっ)
選択肢
1、祐一に時計を返す
2,時計を返さず、「死が二人を分かつまで」待ってもらうよう栞に跪いて懇願する。
3,このまま終了時間を待つ
4,秋子ちゃんと愛の逃避行
選択肢「1」
「あの時が、あたしの人生で最高の瞬間だった(嘘)。あんなに幸せな時間は無かったわ、あの一秒が止まって、永遠に続けば良いと思った。でも、それももう終わり、今日で終わりにするの」
全員に見えるよう、ゆっくりと祐一の時計を腕から外し、その手を祐一に差し出した。
「香里……」
祐一も香里と手が切れるなら喉から手が出るほど欲しかったが、その意味は「返したらすぐ死ぬからね、取れるもんなら盗ってみなさいっ! いーわね?」と言っているのと同義なので、それを受け取るような寝ぼけた奴は、男子トイレで軽くフクロにされ、目を覚ますまで便器の中で顔を洗われるのが定説なので、どうしても手が出せなかった。
「もういいの…… 今までありがとう、さようなら」
笑顔のまま嘘泣きし、涙で枯れた声を絞りだすように出し、全てが終わったような爽やかな顔をして差し出すが、そこで異変が起こった。
「返しちゃダメ〜〜〜っ!」
不倫賛成派の女子数名が全力ダッシュで駆け寄り、祐一との間に割り込むと、時計を香里の左手にはめ直し、しっかりと固定した。
「結婚式、やりましょうっ、もう一度ここで、みんなで祝福して、やり直しましょうっ!」
別の女が祐一の左手を上げ、証拠の品である「香里の女物の腕時計」を全員に見せ、カメラにもしっかりと収めてもらうと、周囲から賛同の拍手が巻き起こった。
そこで驚くことに、復活していた委員長が、「相沢君と美坂さんの結婚式、日取りは? 衣装は?」と黒板に大書してしまった。
((しまったーーーーーーーーーっ!))
栞と祐一は、心の声で同時に叫んだ、なんと真面目だと思われた委員長は、不倫賛成派だった。
「妹さんは
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