暁 〜小説投稿サイト〜
KANON 終わらない悪夢
21最後の授業参観
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 瞬間最大視聴率を獲得し、静まり返っていた教室で口を開いた人物がいた。
「お前、休学してもいいぞ。人生、受験や就職だけが全てじゃない」
 それはついに香里の芝居に屈し、涙を浮かべながら休学を勧めた担任だった。
(しまったーーーーーー!!)
 自ら墓穴を掘って、中に入って土までかぶってしまった祐一君。先程の選択肢は、上から順に実行すると、最悪の状態を招く特急券が自動的にプレゼントされる仕組みになっていた。
「今日はもういいから、病院まで送って行ってやれ」
 深々と頭を下げ、今度こそ拍手で教室から送り出される香里と、引きずられて行く祐一。さっきのがカーテンコールだったらしい。
(いや〜〜〜〜っ!)
 その後、この映像は、放送前に校内のホームルームで各クラスで見せられたり、天使の人形の力で、あっという間に審査を通り、地方局ローカルで放送される事になった。これが難病アイドル、美坂姉妹誕生の瞬間であった?


「うぐぅ、香里さん、がんばって」
 こちらも香里の芝居に騙され、涙と鼻水でヌルヌルになっているあゆ。
(騙されちゃだめだよ、香里さんはもう治ってるし、あれは全部お芝居なんだ)
「え? そうなの、香里さん治ったんだ、よかった〜」
 どこまでお人好しなのか、自分や祐一を騙している相手が無事なのを喜んでいるあゆ。
「あっ、あの人こっちに来るよ、見付かっちゃった」
 香里の芝居を見ても唯一人泣かず、後に「冷血女」とあだ名される剣豪が、教室の後ろに歩いて来た。
 じーーーーー
「うぐぅ、こっち見てるよっ、早く逃げないと」
(大丈夫、僕達は壁の中にいるからね、直接…)
 バキッ!
「うぐっ、うぐうう〜〜〜〜〜っ!」
 自分の目の前にある壁を殴られ、パニックに陥るあゆ。
(壁の中まで攻撃はできないんだ、外に逃げた方が危ないよ、窓から飛び掛って来るかも知れないしね)
「うぐう〜〜〜っ」
(仕方ない、帰ろうか)
 真上に上って、また何処かに消えて行く、天使の人形とあゆ。
(そうそう、佐祐理さんは休ませない方がいいよ、倉田家に「見えない魔物」が出るかも知れないしね)
「…何っ!」
(教室の方が窓も多くて明るいし、君が守ってあげられるだろ、分かったね)
「待てっ」
『嫌っ、何してるの、あの人?』
『幽霊とでも喋ってるんでしょ、関わっちゃだめよ』
 今は佐祐理、祐一などの弁護人がいないので、好き放題言われている舞。
「何してるんですか? 川澄さん」
 祐一関係の知り合いなので、思わず声を掛ける北川。もしかすると自分と同じ行動原理で、コンクリート壁を殴っているように見えたのかも知れない。
「…この中に何かいたから、香里さんが倒れた時にも同じ奴がいた」
「えっ?」
「…あの子も少し変だった、病気が治りかけている
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