21最後の授業参観
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どうすんだよっ?」
「そうだそうだっ」
「真実の愛なのよ、なんで分かんないのっ」
「そうよっ、こんなに切ない恋なのにっ」
不倫否定派は案外男性側に多く、不倫肯定派は女性が多かった。そこで近くにいた女が、一歩踏み込んで栞の手を取り、涙ながらにこう言った。
「お願い栞さんっ、相沢君と香里の結婚式だけは認めてあげてっ、本当に届けを出すわけじゃないの(提出済み)、子供の遊びだと思って我慢してあげてっ」
本当の届けを出す気満々の姉を思えば、子供の遊びで済む訳がない、既成事実として世論の指示を得て、大々的に利用するのは目に見えていた。
「え、でも?」
姉との一対一の対決だとばかり思っていた栞は、無名の「歩」に陣地に入り込まれ、眼の前で「と金」に成られた、さらに近くでは桂馬が効いていて、角道には委員長が居座っている、ここで栞は「詰み」を覚悟した。
(フフン、チェックメイトよ、栞)
「私からも頼む、「死が二人を分かつ時まで」香里に相沢を貸してやってくれないか? 頼むっ」
近くにいたタカラヅカの男役のような、背が高い女子が涙を流しながら詰め寄って、「お前は詰みだ」と宣言した。この申し出を断るような女は、机に一輪挿しを置かれ、油性マジックで机に「死ね」「ブス」「ブタ」「キモいんだよ」とビッシリ書き込まれ、ノートや教科書も同じ扱いでゴミ箱に投入、財布を盗んだ犯人扱いされ、仲間はずれ、無視、陰湿な暴力、暴言、からかいの対象になって、体育でもペアは無し、フォークダンスでも一人飛ばし、修学旅行でもボッチ、トイレに行けば上から水を掛けられるのが日常になるのは簡単に想像がついた。
(それって、私の小中学校時代じゃない、でも負けないっ)
「あの、子供の遊びなんでしたら、私も参加していいですか? 私もウェディングドレスとか着てみたいです」
可能なかぎり子供っぽく言ったつもりだったが、下心が見え隠れしたかもしれない、姉の凄まじい攻撃に、負けを認めざるを得ない栞だった。
「おおっ、賛成」
「俺も、俺も〜」
男子達のやたら音を強調した拍手が起こった。不倫否定派の連中が、自分達はマイノリティーではないと主張したかったらしい。
「結婚式なのよっ、新婦が二人なんておかしいわっ」
「香里の最後のお願いなのにっ」
過去には「キクちゃんもハナちゃんも好きダスーー!(声:野沢雅子)」で有名な風大左衛門が、「いなかっぺ大将」の最終回で二人の花嫁と結婚式を挙げた実例?もある。子供同士の結婚式なので有耶無耶になったが、前例が無い訳でもない。
そこで香里は、栞を包囲していたうちの一人が、委員長にソロリソロリと近付き、何やら耳打ちしているのが見えた。それを聞いた委員長は、黒板の日取りの欄に「サ」と書こうとして、すぐ女に消されたのも見た。
(ふふっ、栞をのけもの
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