19栞VS舞
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数日前
夜中になり、何故か公園に一人佇んでいた栞。
「お嬢ちゃん、こんな遅くに一人でお散歩かい? 俺達と楽しい事しようぜ」
暖かくなり始めた夜の公園では、どこにでもいるようなクズ達が、栞の周りに集まっていた。
「嫌です」
「俺たちが優しくしてるうちに、言う事聞けよなオラッ!」
「おいおい、吠えるなよ、お嬢ちゃん怖がっちまうだろう?」
しかし、今日の栞はこの程度の脅しには動じなかった。
「誰がお前らみたいな「クズ」と」
「何ぃ? チョーシん乗ってんじゃねえぞコノッ!」
ベンチを蹴られ、不良に取り囲まれた栞、だが栞は意外な行動を取った。
(ニヤリ)
「こいつ笑ってるぞ、どっかおかしいんじゃないか?」
「イケニエニナレッ」
すでにその声は人間の少女の声では無かった。
ブウンッ!
栞が笑いながら腕を振ると、射程より遥か先の不良まで吹き飛び、手足を変な角度で巻き込みながら転がって行った。
「ギャアアアッ!」
遠心力で飛ばなかった者は、壁に張り付いて肋骨でも折れたのか、血を吐いていた。生き残った者を掬い取りながら手を捻る。
「なっ! 何だこいつっ! 化け物だっ!」
「いっ、嫌だーーーっ! やめろーーーっ!」
握り潰されそうな男が何か叫んでいたが、栞が同じ言葉を言って、やめるようなような相手では無いのは、考える必要も無かった。
(同情の余地無し、世間のゴミ掃除さ、やっちゃっていいよ)
「ワカッタ」
「「「「「ギャーーーーーー!!」」」」」
夜の公園に男達の悲鳴が吸い込まれて行った。
現在の校庭
『…やっと見付けた、こいつは魔物、私が倒す』
香里が倒れた時に昼間の校庭に現れて以降、夜の校舎には現れなくなり、校外を徘徊して人の命を喰らってきた魔物。その一体をついに見付け、殺気を込めて向かう舞。
「ジャマダ」
幼い人体に憑依しているようだが、本体を倒せば中身は出て来るか、一緒に潰れるかもしれない。まずはその頭を狙って打ち込んでみた。
「やめろっ、舞っ」
魔物の一体は「異世界に飛ばされる暗闇」という新しい力を使っているのは見えたが、今の所は脅威にも成らず、かわしながら近寄って行く。
スピードの早い腕は脅威だったが、いつもの様に肋骨をへし折られるような重圧もなく、手足に巻き付かれてバランスを崩され、その隙に暗闇を叩き込んでくる単調な攻撃や、切り裂く闇が飛んでくる。それらの全ては、舞にとって手に取るように分かった。全部自分の魔物が繰り出す、自傷行為のような物だったから。
『…はっ!』
まずは挨拶代わりに、中身が潰れないように後頭部を叩く、これが普通の人間なら、気を失い、倒れて魔物が出て来るはず。そうなればこの子を祐一にでも任せ、周りの女に邪魔させないように戦えば良い、依代が無い
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