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KANON 終わらない悪夢
19栞VS舞
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ない。
『あの時、あの頃だけが幸せでした。また同じようにしてもらえますか? 今度は自分の体で抱かれたい、お願いします、あの体で、あの夜の麦畑をもう一度……』
 魔物の声と泣き顔は、祐一を引き寄せるように抱いて、通路を作るだけの軽いキスを交わし、舞の右腕は祐一の中に宿り、栞は意識を失って抱き止められた。
『何て事を……』
 邪悪な舞の使い魔が祐一に宿ってしまい、肩を落とす真琴(本物)。次の討伐対象は祐一になってしまい、舞を倒してもその腕がどうなるか分からない。
「夜の使い魔が乗り移って食い荒らしたのに、傷も付けないで抜き出せたのなんか聞いたこと無いぞ? すぐに里に連絡しないと」
 栞の右腕が腐り落ちもせず、繋がったままで祐一に支えられているのを見て驚く少女。
「相沢くん、それ、それ川澄舞に返せるの?」
「ああ、舞はまだ嫌そうだけどな」
 先ほどの目的、使い魔に憑かれ、人の命を喰らった栞の討伐から、術者本人と思われる舞を突き止め、舞さえ倒せば二人の命だけは救えると喜んだ瞬間。もっと信じられない事態が起こり、使い魔と会話して和解し、自らの身体に取り込んだ意味不明の術者を見た少女達。
「奇跡って本当にあるんだ」
 香里の病気が治ってしまうのは薄々知っていた少女達も、こんな事態が起こるとは信じられなかった。

 それから、気を失った栞を連れ、保健室に移動した一同。保健医に話し、ベッドに栞を預けようとした所で。
「えっ? どうしたの、また発作が? いえ、イジメ?」
 舞と数人の女子を見て、祐一の怪我やボロボロな栞を見比べた所で、病気ではなく舞のイジメと勘違いして騒ぎ出した保健医。
「いえ、違いますよ、どう説明したらいいのか?」
『ねえセンセイ、実は妹ちゃんにデッカイ化物が憑依しましてね、暴れだしたんで私達で倒そうとしたんですけど、相沢くんが説得して、またチューして大人しくさせたんです。今その化物って相沢くんの中にいるんですけど、信じて貰えますか?』
 余りにもそのままな説明を聞かされた保健医だったが、術に掛けられて信じたような信じられないような奇妙な状態に置かれ、結局笑い話に落ち着いて否定し始めた。
「もう…… 漫画の見過ぎよ、そんなのある訳ないじゃない」
『え〜、そうですよね〜、でも本当なんです』
「ハイハイ、分かりました、栞さんは預かりますね」
 そう結論づけて他の一同の傷も治療しだす保健医。そこで本日二度祐一に救われた少女が、包帯や消毒液を取って左手の治療を始めた。
「あの、ごめんなさい、私のせいよね、こんなになってしまって、縫わないとダメだから今からでも病院行こうか? その前にしみるけどごめんね」
 自分のハンカチを外し、消毒を始めようとしたが、ここ数日の危機に対応したのか、掌の傷は治り始めていた。
「うそ、もう
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