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KANON 終わらない悪夢
19栞VS舞
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「舞、お前だったのか?」
「…知らない、私じゃない」
 悪事や事件の首謀者のように言われ、女達の視線や殺気が舞に向かったが、気弱になって首を振り、覚えのない災厄には関わっていないのを主張する。

『忌み子、川澄舞。貴方の悪行もこれまでです、これ以上災厄を撒き散らすなら、わたくし達も容赦はしません。本来、貴方を倒すには秋子様の決済が必要ですが、ここまでの事を仕出かした以上、事後承諾でも構わないでしょう』
「待ってくれ、舞はそんな酷いことをする奴じゃないっ」
 祐一の止める声も聞かず、三人が加速し始め、一人は盾に戻った。
「相沢、退いてくれよ。栞ちゃん、お前の恋人なんだろ? その女と天秤に掛けてみて、どっちが大事か考えるまでも無いだろ?」
「…私は何もしてないっ、この子の事も知らないっ」
「悪い奴は皆んなそう言うんだよ」
 そう指摘されても、祐一にもどうしても信じられない。舞の魔物を操って栞に憑依させた、別人の存在が考えられ、その思いが拭い去れない。
『妖狐の血族と交じり合い、訪れる幸運と災厄は表裏一体。与えられる力や幸運の裏には、このような忌むべき災厄が付き纏う。わたくし達の一族は、人の心と妖狐の力を持って厄を祓わなければならないのです。十九年前、祖父や祖母達が、どのようにして川澄一家を廃したか、秋子様からお伺いですか?』
「いや、何も聞いてない、でも待ってくれ」
 今度は栞に向かい、舞の魔物を説得してみる。
「なあ? 舞の右手だっけ? 舞の所に帰ってくれないか?」
「さあ? 帰り方なんか知りません。でも、追い出された自分の体を取り返したいです」
「妹ちゃんよ、さっきの技で、この女を真っ二つにして異世界に放り込んでやれよ、そうすりゃ話しが早い。まあ自分の本体切れるわきゃないか? へへっ」
 物騒な話をされている間も、何とか栞に取り付いている魔物と舞に聞いてみる。
「お前は帰っても良いんだな? 舞はどうなんだっ?」
「…それは魔物、私が必ず倒す、邪魔しないで」
 周囲の人物も、この状態には違和感を感じた。夜の使い魔達は舞自身に追い払われ、その存在自体を消されようとしている。使い魔も誰かの体を乗っ取って命を喰らっても、自分のために利用するでもなく、本来の体を取り返そうとしている。
「じゃあ、舞の体に戻る前に、俺の右手にでも入っててくれ」
「いいんですか?」
 舞の魔物、右腕は、嬉しそうに栞の声と顔で喜び、その体は仄かに光り始めた。
『止めてっ、相沢くんっ!』
『私、ずっと祐一さんが好きでした。この場所、何年も前のあの麦畑の中で、夜中から夜が明けるまで走り回ったのを覚えてますか?』
 その言葉は全て栞の声だったが、この場所で走り回った記憶など無い祐一。そして体力がなく走れない栞が夜中から夜明けまで走れるはずが
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