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KANON 終わらない悪夢
19栞VS舞
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ってた、分かってたはずなのに、相沢くんはもう妹ちゃんと出会ってて、奇跡の恋の真っ最中だって分かってたのにっ、私のおままごとみたいな初恋じゃなくて、本当の恋をしてるって知ってたのにっ』
「お嬢っ」
 突然泣き出したクラスメイトを気遣い、友人の一人が抱きしめた。
「悲恋なのね、今度も悲恋なのね?」
『うっ、ううっ、ごめん、みんな』
 最近は「奇跡の恋」「奇跡の恋再び」など、恋バナには事欠かなかった一同も、その裏に隠された悲恋に涙した。捏造されたものとは知らずに。
『私、それでも相沢くんが好きだった、でもあの子と幸せそうにしているのを見てられなかった、それが憎しみに変わるのに、そんなに時間は掛からなかったわ』
「よっ、日本一」

 愛憎のドロドロ劇が大好物な連中からも合いの手が入る。その頃には、一階から破壊の限りを尽くしていた栞ロボが、ベータスリー?と祐一を追って三年のフロアまで遡上し、お嬢と付き人のいるクラスに突入して来た。
「お嬢、助けてっ」
「くぁwせdrftgyふじこlp! キシャーーーー!」
 すっかりギャグキャラに落ちぶれ果てた栞。逆上して、あらぬことを叫びながら追撃するお姿は、怒髪天を突いたまま火炎攻撃でも喰らったのか、アフロヘアーになり、制服も少し焦げていた。
「落ち着け、栞、話し合おう、話せば分かる」
 追い詰められたのか、まだ話が通じる相手だとでも思っているのか、愚かにも対話を要求する祐一クン。その相手は氷のブレスを吐き、翼?の動きとともに吹雪が発生し、まるで南極から来たペギラのようにも見えた。
『相沢くん、「それ」、どうしたの?』
 折角の「奇跡の恋シーズン3」放送中に、ペギラの襲来で話の腰をへし折られ、やっとこれから悲恋と愛憎の日々を捏造しながら語り、ついに運命の恋人と結ばれてエロエロな行為の話で盛り上がる所だったのも邪魔されてしまい、怒りも湧いて来たが、先ほど舞の使い魔が抜けたはずの相手が、変わり果てた姿になっているのにも驚かされた。
「さっきより酷くなってるの、あの子も川澄舞も一撃でやられちゃって」
『エ?』
 量産型ザコその1は別として、あれほど強かった舞まで一撃と聞かされて耳を疑ったが、アフロの化物は前より多くの暗闇を引き連れ、氷のブレスなど新しい術を使い、相変わらず何一つ詠唱せず神々の力を行使していた。
『みんなごめんね、「あの子」が来ちゃったや、ちょっとシバいて来るね。ああ、あの特殊効果とかは気にしないで、心象風景の具現化とか、そう見えてるだけだから』
 本妻で婚約者の襲来に盛り上がる教室だが、栞の周囲の特殊効果?は、術によってマジカノのように「ご使用になった皆様の個人的な感想です」の字幕が入って、暗闇に食われている級友とか猛吹雪は、自分たちだけが見えている栞の心象風景だと思えた。

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