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KANON 終わらない悪夢
19栞VS舞
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ない男になど構っている暇もないのに同意が得られた。
『二人共、告白できないまま小学校は卒業しちゃったのよ、でも、中学に上がる時、両親が離婚して私は母の実家に引っ越し、悲しいお別れの時が来ちゃった訳よ』
「悲恋なのね、どんなお別れだったの?」
 ラブラブアイテムである「小学校の卒業アルバム」を証拠として提出して自分と祐一を指し示し、巻末の寄せ書き欄に先ほど祐一に書かせた「ずっと好きだった、祐一」も見せて、ぎこちない子供同士の恋愛が実らなかったのを公表しておく。
『卒業式で話し合ったの「相沢くん、私、両親の都合で引っ越すことになったの、中学は一緒に行けないね、さようなら、これを私だと思って持っていて」』
 もう自分の席で立ち上がって、目の前に小学生の祐一がいるような演技を始めるが、勿論お別れのプレゼントなどしていない。
『「ありがとう、沢渡さん」あ、これ私の旧姓ね、「きっと大事にするよ、僕のことも忘れないで」見つめ合う目と目、繋ぎあった手と手、やがて二人は引き合う磁石のように…… でも、子供だった私も相沢くんも、キスはできなかったのよ』
「相沢のヤロー、そこは告ってキスだろ、何してんだっ、アイツはっ」
 当時、抱き合ってもいないし、挨拶もせずにお別れになったのに、まるで抱き合ったかのように自分をハグしてキスのように口をとがらす。周囲の女子も盛り上がり、術にも掛かっているので多少の嘘は認められた。
『悲しいお別れだったわ、でも、運命の時は来たのよ。お互い、魂でも呼び合うかのように、五年の歳月を超えて二人は出会ってしまったの、二年生も終わりの一月、彼が転校してきたのよ』
「キャーーッ、すぐ分かったの? 相沢だってわかったんでしょ?」
 そうだと答えると、話の整合性が崩れるが、術を使って洗脳中なので、気にせず続けてみることにした。
『そうよ、すれ違っただけでピンと来たの、背丈も違って逞しくなってたけど、当時の面影そのまま、「初恋の男の子」「運命の恋人」と再開したのよ』
「「「「おおーーーーっ!」」」」
 祐一の名前も顔も、完全に忘れていて、会っても全く気にならなかったにも関わらず、都合が良いように話を変え、自分だけが気付いたように話す。
「でも、相沢は気が付かなかったのか? 酷いやつだな、ふざけんなよ」
『いいの、さっきも言ってくれたわ、「大人びて、背も高くなって気が付かなかった」って』
 どう見ても発育不全で、特に胸部の発達が遅れていて、下手をすれば中学生で通せるのには突っ込まない一同。術に掛かっているので仕方がない。
「お前は気が付いてたのに、相沢は香里の妹とか、香里と……」
 恋仲になったとか、体の関係になったとは言えず、周りの女が絶句すると、真琴(本物)は自然と綺麗な嘘泣きができた。
『あれ、どうしちゃったんだろう、分か
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