暁 〜小説投稿サイト〜
KANON 終わらない悪夢
19栞VS舞
[2/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
なら夜の校舎で存分に戦える。
「キエロ」
 憑依した体まで強化されているのか、魔物が完全に支配しているのか、脳を揺すった程度では栞という子は倒れなかった。
『川澄さんっ、体ごと殺さないと無理よっ、もうその子は救えないっ』
 リボンの女が何か言っているようなので、次に体を潰してみる事にした舞は、本気の突きを放った。
『はああっ!』
「やめろっ」
 祐一が邪魔しに突っ込んで来たが、その前に突きを放ち、祐一の体を盾にして暗闇を払い、いつものように転がって逃げるが、魔物は喉仏に突きを喰らっても、何事も無かったように攻撃を続けていた。
「血を流させろっ、こうやって傷を付けて、血がなくなるまで刺せっ」
 他の女も魔物の殺し方を知っているようで、刃物や血を抜く針を使って攻撃している。右手から伸びた見えない腕は、傷だらけにされ血まみれになり、教室で感じたような大きな力を失って来ている。
『…邪魔をしないでっ! こいつは私の獲物よっ』
 この魔物は自分の獲物、必ず自分の手で殺さなければならない相手。刺して、切り倒して、その痛みを心地よく堪能し、のたうち回って苦しむ所を笑って見届けなければならない相手。
 そこで今度は栞の頭を潰すために上段に振り上げ、頭の天辺を狙った。
『…チェストオオッ!』

 だが、風の様に走り回って止まれなかった女が、舞の攻撃に隠れて栞の背後に回り、肋骨の上から刃物を突き立て、心臓の辺りに傷を付けた。
「ああっ!」
「やめろおっ!」
 とどめを刺され、倒れるかに見えた栞は。ペロリと舌を出して笑った。
「ザンネンデシタ」
 栞の心臓に刺さるはずだった刃は、黒い闇を介して、地面に張り付くようにして歩いている女の首筋に現れ、鎖骨から下に刺さる前に、祐一の手と一緒に現れて刺さるのを防いでいた。
「あっ、相沢くんっ」
 間一髪救われた女は祐一の手を見て、想い人の手を刺してしまった女もその相手を見て、栞も自分を救うために手を差し伸べた祐一の手が傷付いてしまったのを見て、三人は一斉に血の気を失って行った。
『ごめんなさい、相沢くん』
 暗器を背後に隠し、祐一の許可無く、栞と使い魔を共に抹殺しようとしたのを隠す真琴(本物)。
『…祐一、邪魔、そいつ殺せない』
 木刀を上段に構え、まだ栞を撲殺しようと殺気を解いていない舞。
「相沢くん、しっかりして」
 大した怪我では無かったが、今日は二度に渡って祐一に救われてしまったトイレの少女は、チョロイン要員として、傷口にハンカチを巻いて止血した。
「祐一さんっ、大丈夫ですかっ?」
 魔物に支配されていた栞まで祐一の傷を見て自分を取り戻し、その手を気遣った。
「おい、元に戻ったぞ、どうなってるんだ?」
「血が足りなくなったんだろう」
 こうして一時的に休戦となった一同
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ