第四章
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「お父さんいつも沢山飲んでるけれど」
「ああ、美味しいぞ」
「けれど飲んだらチョコレートとか食べられないのよね」
「合わないな、ビールには」
「それでも美味しいの」
「それは大人になればわかる」
これが父の返事だった。
「飲んだ時にな」
「そうなの」
「お酒を飲めたらだがな」
「チョコレートの方がずっと美味しいと思うけれど」
七海はこう思えて仕方がなかった。
「そんなに美味しいの」
「そうだぞ」
「本当かしら」
七海は首を傾げさせてこう言うばかりだった、だが大学を卒業して就職した時にだ、結婚して男の子を産んだ空美が夫と共に実家に帰ってきた夏に職場の同期達とビアホールに行った帰りにこう言われた。
「あんたまた飲んだのね」
「うん、ビアホールでね」
真っ赤な顔でにこにことして答えた。
「リットルのジョッキで四杯ね」
「ドイツじゃないんだから」
「だってビールって美味しいから」
「それでも飲み過ぎでしょ」
「全く、七海姉ちゃんって本当にビール好きだよな」
大学生になっている弟の陸もそんな姉に言った。
「飲むのいつもそれじゃないか」
「夏は特にね」
「しかも一度に何リットルも飲んで」
「一旦飲みだすと止められないのよ」
そこまで好きだというのだ。
「飲む日は少ないけれど」
「全く、そこは親父そっくりなんだから」
「お父さんもビール好きだしね」
「そうだよ、何でそういうところだけ似るんだか」
「好きなのは仕方ないわよ、けれどチョコレートも好きよ」
こちらもと言うのだった。
「子供の頃からね」
「そういえばそうだね」
「いや、子供の頃はビールの味はわからなかったけれど」
「今はなんだね」
「どっちの味もわかるわ」
チョコレートもビールもというのだ。
「いい感じでね、一度には口に出来ないけれどね」
「チョコレートとビールは合わないわよ」
空美がそこを指摘した。
「やっぱりね」
「そうなのよね、これが」
「昔お父さんも言ってたけれど」
「そうそう、ワインとチョコレートは合うけれど」
「あんた基本ビールだからね」
「飲む時はね」
「だからよね、まあとにかくね」
空美は陽気だが足元がふらつきだしている妹にさらに言った。
「このままじゃ駄目だから」
「シャワー浴びて?」
「そう、早く寝なさい」
「そうするわね」
「お風呂空いてるわよ」
キッチンから母の声がした。
「早く入って寝なさい」
「うん、そうするわね」
「お風呂の中で酔い潰れないでね」
「そこまで酔ってないから」
こう応えてだ、そのうえで。
七海は家のバスルームに入ってシャワーを浴びてだった。身体を奇麗にしてからバスルームを出た。その時に着けた下着の色は上下共チョコレート
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