第三十七話 リュエージュ防衛戦・前編
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屋に向かった。
司令室には数人の参謀が詰めていて、マクシミリアンが部屋に入ると、全員起立して礼をした。
「殿下」
「殿下、ご苦労様です」
「みんなご苦労様。反乱軍は大攻勢をかける事無く妙に消極的だったことが気になるんだけど。ひょっとしたら連中、リュエージュに対し何らかの工作を行っているのかもしれない。至急、探りを入れてくれ」
「工作ですか……」
「地面の下をトンネルで掘り進んで城壁を突破するとか色々ある。ともかく調べておいてくれ」
「御意」
「ご苦労様でした」
マクシミリアンは気になっていた事を伝えると、食事を取る為に司令室を出た。
「これは殿下」
「こんばんは、カリーヌ夫人」
食堂に向かう途中、カリーヌ夫人にばったり会った。
「殿下、少々、お話したい事があります」
偶然の出会いではなかったようだ。
「何でしょうか? カトレアは結婚するまで手を出しませんよ」
「そういう事ではありません、今日の戦闘の事です。殿下は私がかつて『烈風カリン』を呼ばれていた事をご存知でございましょうか?」
「はい、知っていますよ」
「それならば話は早いです。明日の戦闘ですが、私の参戦を承諾して頂きたい」
「烈風カリンの力を持ってすれば、あの程度の軍勢など訳も無い……と言う事ですか?」
「御意」
「……う〜ん」
マクシミリアンは腕を組んで悩んだ。
「何故、迷う必要はあります?」
「ただ、『勝つ』だけなら、カリーヌ夫人の手を煩わさずとも、僕が何とかしてましたよ」
「他に何か『企み』がお有りで?」
「企み……というほどの物かは分かりませんが、圧倒的魔力で勝利してもそれは『個人的勝利』にしかならないと思っています。一握りの強力なメイジが戦局を左右する……だからこそ、始祖ブリミル以来6000年、ろくに変化せずにここまでやって来れたのしょう」
「では殿下は、この内乱を利用して何らかの変化を起こそうと?」
「それもありますが、僕はこの内乱を利用して貴族と平民。二つの身分との間にある負の関係と言うべきか、上手く言葉に言い表せないんですが……例えば貴族は平民を奴隷のように扱ったりする者が居ますが、僕は今回の内乱を利用して、二つの身分が協力し合い、行く行くはそれらの奴隷と主人の様な関係を正すようにしたいんです。だからこそ、この内乱を僕やカリーヌ夫人の勝利ではなく、トリステイン王国の勝利で終わらせたいのです」
「殿下が日ごろ言っているノブレス・オブリージュ……ですか?」
「僕の思うノブレス・オブリージュは、『貴族や金持ちはモラルを持ち、大衆の啓蒙を行って欲しい』という意味なんです」
「私は、正直なところ殿下の理
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