第三十七話 リュエージュ防衛戦・前編
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か訓練時間を多く取る事ができた。
「撃てっ!」
再び轟音。
砲弾はゴーレムを外し地面をバウンド。後ろに控えていた敵戦列歩兵は地煙を上げて蹴散らされた。
「ギャーッ!」
「うわああ!」
戦列を崩した兵士に代わり後ろに並んでいた兵士が、最前列に進み戦列を組み直した。
「前進!」
巨大ゴーレムは投石器代わりに岩を投げ続け、後方の戦列歩兵はリュエージュ城壁に肉薄せんと前進を開始した。
反乱軍は予想通りに、数に物を言わせて力攻めで来た。
マクシミリアンは、リュエージュで最も高い塔に登り戦いの成り行きを見守っていた。
「敵は馬鹿か? あのゴーレムも一緒に前進させて弾除けに使えば効果的だと思うんだが」
『魔法至上主義の彼らでは、平民こそ弾除けにしかならないのでしょう』
ジェミニ兄弟が塔にやって来て現状の報告を行っていた。
「敵失は歓迎すべきだな。ロケット砲陣地はどうなっている?」
『守将のラザール殿の判断で支援砲撃を行う予定です。』
「そうか」
『それと、間もなく300リーブル砲が発射準備を終えるそうです』
「あの1門しかないアホ大砲か」
300リーブル砲とはリュエージュ防衛の切り札で、砲弾が300リーブル……140kg前後の巨大砲弾を打ち出す超重砲だ。
数百年前、名のある土メイジがリュエージュ防衛用に作り、侵攻してきたゲルマニアの巨大ゴーレムを一撃で粉砕した戦果がある。それ以来、百年間この大砲を撃った記録は無く、一応は抑止力として機能していたようだ。
対ゲルマニア用に東門に設置されていた300リーブル砲は、その向きを変え正門である南門からやってくる反乱軍に対し、轟音と共にその巨弾を撃ち出した。
圧倒的な轟音が周辺に鳴り響き、衝撃波がリュエージュの家々を揺らした。
300リーブルの砲弾は城壁を乗り越え反乱軍ゴーレムに迫った。しかし巨弾はゴーレムを外しあらぬ方向へ落ちて巨大な土煙を上げた。
(やっぱり使えない)
マクシミリアンはそう思ったが、
「な、何だ今のは……」
「さ、300リーブル砲だ! あの砲が俺たちを狙っている……!」
反乱軍に対してのプレッシャーは相当なもので、敵の士気を挫く事に十分な働きを見せた。
城壁の上には砲兵の他にミニエー銃を持った兵士が詰めていて、すかさず敵の戦列歩兵に対して発砲を行った。
既存のマスケット銃よりも数倍の射程距離を誇るミニエー銃はここでも抜群の威力を発揮した。とはいえ前装式の為、装填に時間がかかるが、その弱点を引いて余りあるほどの性能だった。
「ぎゃあ!」
「あんな所から届く鉄砲なんて聞いたことが無いぞ!」
「あんな
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