第二十九話 食事その五
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「今度の論戦です」
「だからこそ早いうちに用意をしますか」
「そのまま勝負に入らず」
「相手がどうして来るのか考え」
「相手がどう来てもですね」
「引き分ける様にです」
旧教側の、とだ。マリーは側近達に答えた。この考えは彼女にとってはこれからの国のあり方を決める第一歩なのだ。
だからだ、彼女はそれを絶対の一歩としているのだ。
「もっていきましょう、勝ってもです」
「圧勝ではないですね」
大司教がこのことを確認した。
「決して」
「はい、大きく勝たずに」
「多少で止め」
「旧教徒の力はあまり削ぎません」
温存しておくというのだ。
「新教徒一辺倒ではかえってよくありません」
「新教優位でも旧教もそれなりの力を持っている」
目を強くさせてだ、キャスリング卿が述べた。
「それがいいですね」
「そうです、この国においては」
「太子とはそこが違いますね」
「あの方は新教を認められても旧教第一です」
デューダー卿が指摘した。
「マリー様よりも遥かにです」
「一方の優位をですね」
「考えておられますので」
「帝国の方だからこそ」
「それは当然ですね」
「新教の力は僅か」
「そうあるべきと考えておられます」
実は帝国は古の聖書を信じる宗教の者達も多くいる、帝国は彼等の存在も否定してはいないのだ。
しかしだ、新教徒達も彼等と同じくというのだ。
「小さな力であるべきだと」
「そこが難しいですね」
「我々は旧教に今の勢力の維持を考えていますが」
「太子は違いますね」
「旧教の絶対の優位ですね」
「そうです、そこが違うので」
マリーは四人あらためて述べた。
「それはこの国の正しい形ではないです」
「だからこそ認められませんね」
ロドネイ公もマリーに言った。
「ですから」
「そうです、私達と帝国の考え方は違います」
「この国についての」
「帝国は帝国として考えています」
「そのうちの一環として」
「王国への剣としたいです」
「そうですね、ですが」
マリーは真剣な顔で言った。
「私達は私達の国として」
「考えていますね」
「自分達の国として」
「そこが違いますね」
「そうです」
まさにというのだ。
「私達は私達の国として考えています」
「帝国とこの国は違う」
「認識の違いですね」
「それが明らかに出ていますね」
「このことに」
「私達は私達の国として動きです」
そしてというのだ。
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