最終章 無明編
第68話 派閥
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風もありませんのになんで......ッお待ちになってェ〜〜〜」
くすくす
その様子を見ながら愉快そうに笑うお嬢様達。
「ご覧になってあの姿。おやめなさい悪趣味ですわよ」
婚后は両脚に力を込めて飛び上がると何とか漂っている扇子を捕まえるがそこは学校に入るための階段になっていて最高段から最低段との思いの他激しい落差に背中が縮み上がる。
「と......あっ!」
「!?」
視界から消える婚后に扇子を飛ばしていたお嬢様達の目が点になった。
「ちょっと、やりすぎではありませんこと?」
「い、いえ......ここまでするつもりは......」
そそくさと逃げるようにカバン片手に校舎の中に入っていった。
「アレェ......え?」
「大丈夫か?」
階段から落ちて地面に落下する寸前でサソリが移動してきて婚后を受け止めていた。
図らずもともお姫様抱っこに顔を覗き込んでくるサソリに男慣れしていない婚后は顏を赤くしたまま硬直した。
たぶん生涯で初めてのお姫様抱っこ。
「な、ななななー!!!?」
「ふぅ......間に合ったか」
「な、なんで貴方が!?」
「落ちそうだったからな。立てるか?」
「......は、はい」
サソリは優しく降ろすと乱れた外套を直し始める。
「あ、ありがとうですわ」
「ああ、何してんだお前?さっきからウロウロして」
「わたくしは自分の派閥を立ち上げようと思いましたが......上手くいきませんの」
「はばつ?」
サソリが首を捻っていると背後からフウエイが飛んできてサソリに抱き着いた。
「パパ〜!フウエイにも!フウエイにもやって」
「あ?何でだよ」
「いーじゃん!フウエイもやって欲しい〜!」
「ちっ!しょうがねぇな」
フウエイを抱き上げると腕の中で仰向けにさせた。
「ふへへ」
サソリにお姫様抱っこされて満足そうにニコニコしながらサソリの身体にスリスリと擦り付けてサソリの外套の余った部分を布団のように自分に掛けた。
子供をあやすその姿に婚后は尊敬する父親と無意識に重ねた。
あの時に父から言われた言葉を守れない自分が凄く情けなく思えた。
扇子を広げて優雅に見せているが、それはハリボテに過ぎないのだと......
婚后は花壇に地べたに腰を下ろした。
自分に相応しい人間をと言いながら
誰からも受け入れられず
必要とされないのはわたくしの方
蹲りながら顔を下に向ける。
「わたくしは友達を作る器ではないという事を......」
認めたくなかった
だが、これだけの証拠が揃ってしまえば認めざるを得ない
「器?」
サソリがフウエイを抱っこしながら徐にに訊き返した。
「そうですわ......友人を作る資格も」
「それって資格がいんのか?仲間っ
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