第二章
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「風だったな」
「あんたがいつも抜こうとしてるか」
「風だっていうんだな」
「あのルーキーは」
「そう思う。あいつは風なんだよ」
俺は自分が感じ取ったことをそのまま皆に話す。
「それが来たんだよ」
「それであんたを抜いてか」
「一気に先に行ったか」
「そうしたんだな」
「やられたって気持ちはあるさ」
だから今食っているステーキも一緒に飲んでいるワインもそれ程美味くは感じられなかった。ワインは酒の中で一番身体にいいから酒を飲むならこれにしている。
「けれどそれ以上にな」
「風か」
「風だっていうんだな」
「ああ、それだな」
俺はそう見ていた。あいつを。
それでだ。こう言った。
「次だ」
「次か」
「次のレースでなんだな」
「ああ、あいつを抜いてやる」
俺は強い決意と共に皆に言った。
「何があってもな」
「そうか。それじゃあな」
「俺達も頑張らせてもらうな」
「マシンをチューンアップしてな」
「整備も任せてくれよ」
「ああ、頼むぜ」
レースは一人でやるものじゃない。スタッフ全員でやるものだ。走るのは俺だがスタッフの皆の力があってこそだ。俺はレースをやっていてそのことがよくわかった。
だからだ。俺は皆にこう言った。
「あんた達がいてこそだからな」
「風を抜く手助けをさせてもらうな」
「是非共な」
スタッフの皆も笑顔で応えてきた。そうしてだった。
俺はスタッフにマシンを任せて自分もトレーニングを積んだ。それと共に。
自分のレースのやり方について検証してみた。それでこう皆に言った。
「俺の走り方調べたんだけれどな」
「ああ、何かあったか?」
「問題点があったか?」
「直進は速いな」
俺はとにかく前を見ていた。だから直進は得意だ。
だが曲線、つまりカーブではどうなのか、俺はそのことに気付いた。
「けれど曲がる時はな」
「遅いな」
「スピードがかなり落ちてるな」
スタッフも俺が出したデータや映像を観ながら言う。ノートパソコンには走っている俺の乗るマシンが映っている。
「他のレーサーと比べてもな」
「俺も今気付いたよ」
「俺もだよ」
「あんたカーブではスピードがかなり落ちるな」
「そこがネックだったんだな」
「それに対してな」
観ているのは俺だけじゃなかった。その他には。
「あいつはな」
「ああ、速いな」
「カーブもな」
あいつのデータも集めてみた。ただ俺だけを検証するつもりはなかった。自分だけでなく相手も調べてこそ勝てる、昔の中国の兵法家の言葉を思い出してだ。
両方調べてだ。俺はスタッフ達と話したのだ。
「直
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