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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第160話 崇拝される者
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る気の総量を上げる。まるでこれから戦いに赴く直前の如き龍気の高まり。

「仲間が捕らえられている。そして俺は彼女らを助け出したいと考えている」

 確かに、彼女らは自らの意志であちら側。世界を虚無に沈めようと画策している連中の元に居る可能性もある。
 しかし、自らの意志ではない可能性もある。
 もし自らが望んで、そのような危険な真似を……下手をすると世界自体が消えて終いかねない真似を為しているのなら、友としてソレを止めなければならない。
 そしてもし、自らの意志などではなく、何モノかに強要されているのなら、何としてもその場から助け出す。

 世界を救う事になど興味はない。世界を誰が支配しようとも、俺には関係ない。確かに、自らが暮らす世界なのだから滅びられると多少は困るし、様々な神や仙人たちが危惧するように、この世界が滅びれば他の近い関係のある世界に悪い影響が出る可能性もあると思う。
 しかし、それよりも俺に取って重要なのは矢張り、俺と絆を結んだ相手の事。
 彼女たちが救いを望んでいるのなら、求めているのなら、何とかして助け出したい。

「さつきにもそれを手伝ってほしい」

 オマエさんにならば背中を安心して預ける事が出来るから。
 そう言いながら、右手を差し出す俺。但し、それは有希やタバサ、それに弓月さんに差し出す時の形ではない。

 それは――
 俺の事を睨む……いや、まるで睨んでいるように見えるだけで、彼女は睨んでいる心算はない。ただ、見た目の想像以上に彼女は人付き合いが苦手で、彼女からしてみると強い瞳で見つめているだけに過ぎない状態。
 ……だと思う。

 二人の間で打ち鳴らされる手の平と手の平。ハイタッチの形で交わされる約束。
 そしてこの時、本当の意味でのガリアと炎の精霊との間に友誼に基づく契約が交わされたのでした。



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