第7章 聖戦
第160話 崇拝される者
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な立ち位置に居るのでは……。何のカンの、と言いながら、彼女の心の中で俺の事を他とは少し違う、やや特別な相手として認識しているのでは……。
単に精霊と契約を交わす事の出来る、ハルケギニアでは希有な術者と言うだけではない相手として……。
そう言えば、確か彼女はアラハバキ召喚事件の際にこう言わなかっただろうか。
「そもそもあんたは危なっかしい」……と。この台詞はあの時、咄嗟に出て来た台詞と言う訳ではなく、常日頃から彼女がそう感じていた事なのでは……。
成るほど、そうか。短くそう呟く俺。そして、少しの笑み。
これは普段、彼女に見せる笑みとは少し違う笑み。彼女やハルヒに見せる笑みは、少しだけ性格が悪いと表現される笑みの方が多いのだが、今回は――
「な、何よ。急に笑い出したりして――」
あまり見た事のない俺の表情に、矢張り少し……ドコロではない挙動不審に陥る崇拝される者。
表面上は狼狽えている。そう言う気配を強く発している。しかし、その内側に割と強く好ましい……と言う気配が隠されている。……様な気がする。
少なくとも悪い感覚ではない。
「いや、ただ俺の事をちゃんと気にしてくれていた。
それが分かっただけで今は十分。そう思っただけ――」
異世界から戻って来たばかりで、流石の俺も忘れられているんじゃないかと、多少は心配していたから。
ありがとうな、意味不明の感謝の言葉を口にした後に説明を少し付け加える俺。
当たり障りのない答え……と言うには少し歯が浮くような台詞かも知れない。もっとも、この台詞だけでは何が何だか彼女には分からないでしょう。
先ほど俺が彼女の言葉から早合点して、俺の事を契約者として相応しいか見定める、などと言って置きながら心配もしてくれないのか、……と心の中でのみとは言え、少しがっかりした事は。
ただ、分かった、と言うか、気付いた事がひとつ。そう言えば地球世界のさつきの方も、どうも俺の事を年上と感じていないような気がしていたのだが、その答えがもし、先ほど掴み掛けた答えと同じ物ならば……。
白の詰襟の右のポケットに忍ばせた紅い宝石……地球世界の有希が別れ際に渡してくれた指輪を握りしめる俺。
確かに崇拝される者が地球世界の相馬さつきの転生体である、と言う確実な証拠はない。崇拝される者の発して居る気配と、さつきのソレが似ている。外見が瓜二つ。俺の周りには転生者が集まって来る事が多い、などの状況証拠はあるのだが……。
「なぁ、崇拝される者。見て貰いたい物があるんやけどな」
そう言った後、彼女の答えを待たずにポケットから出した右手を彼女の目の前に差し出す俺。
その時、その場に存在する三人の少女たちから、それぞれの置かれた立場……転生元がどの時代の俺と関わっ
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