第7章 聖戦
第160話 崇拝される者
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く続けた後に、そう続ける崇拝される者。流石に先ほどの台詞だけでは普段通りのギリギリ感しか醸し出していない、明らかに発せられた言葉とは真逆の事実しか存在しない事が丸分かりだと言う事に気付いたのか、少し声のトーンを下げ、落ち着いた高位の精霊らしい雰囲気を演出しながら。
まぁ確かに、初めから心配していないのならば責められる謂れはない。
……と言うか、少しぐらいは心配してくれても罰は当たらないんじゃないですか。
自らの評価が自分で考えていたほどには高くなかった事に、表面上は分からない……気付かれないようにしながら、それでも小さくない落胆と言うヤツを味わっている俺。
流石にこれは恨み言でしかないのだが、あんた確か俺の事を、契約を交わすに相応しい人間かどうかを見極めると言ったよね、と問いたい気分だと言えば分かり易いか。
それとも――
「あの夜、私がもう少し早く魔獣や鬼どもを処理出来ていれば。――もう少しオマエの所に早く辿り着けて居れば、邪神どもの思い通りになどさせなかった」
それとも、彼女にも地球世界の記憶。外見的特徴や、発して居る雰囲気が瓜二つの存在。地球世界の二十一世紀初めの西宮で暮らしていた相馬さつきの記憶があるのか。
その記憶に従えば、一時的に俺がこのハルケギニア世界から消える可能性がある事に気付く可能性はあると思うけど……。
そう考え掛けた俺の思考を簡単に否定して仕舞う崇拝される者の台詞。
その差四十センチ。頭ひとつ分よりも更に距離のある高さから少女風の姿形、及びメンタリティを持つ炎の精霊王を見つめる俺。
当然、少しの驚き。そして、ある意味、否定的な感情。
有希、それにタバサについて少し生真面目すぎる、そう感じた事があるが、この娘に関してもそう言う気質が強かったと言う事か。何もかも他人の所為にして自分は悪くない。そう言う風に開き直る人間に比べるとかなり好感を持てる態度だと思いますが……。
ただ、ここはそのような真っ直ぐな生き方が通用する世界ではない。そんな甘っちょろい世界ではないとも思うのですが。
中世ヨーロッパ風の剣と魔法のファンタジー世界と言うのは。
彼女の言葉を表面上だけで聞き、内容を深く考えようともせずにそう断じ掛ける俺。しかし、直ぐに心の中でのみ首を横に振る。
何故ならば、単純にソレが彼女の気質だけに由来する物ではない可能性の方が高いと思ったから。他の、もっと深い所に別の理由がある可能性に思い至ったから。
元々女神ブリギッドと言う存在は長女と言う神性を持つ女神。それに、もしも彼女が相馬さつきの転生体なら、さつきもまた姉と言う属性を強く持った存在……滝夜叉の転生。
どうも、彼女に取って俺……武神忍と言う人間は、放って置くと何を仕出かすか分からない、弟のよう
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