第7章 聖戦
第160話 崇拝される者
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ハルケギニア世界出身の人間相手なら未だしも、地球世界でならそれほど珍しいと言う特殊能力でもない。それこそ女王卑弥呼……いや、こんな俗称に等しい呼び名では失礼極まりないか。姫巫女以来、日本でも当たり前のように何人も現れている特殊能力者。
当然、麻生探偵事務所のメンバーの中にも二人居たので、何度も模擬戦などで戦った経験のある能力。おそらく、あのジャック・ヴェルフォールは地球世界で俺に対して稽古を付けてくれたあの二人の女性よりは弱かったと思う。
あの二人は、俺の術の師匠や、綾乃さんと共に高校時代には多頭龍の封印に成功し、麻生探偵事務所々員として関わったコンピュータから送り込まれた魔物に因る密室殺人事件からも始まった這い寄る混沌の暗躍した事件、その後の地脈の龍事件でも中心人物として活躍したふたりでしたから。
故に……。
「確かに結果は瞬殺だったか」
少し肩を竦めて見せながら、そう答える俺。今度は苦笑を浮かべて。尚、気分的に言うのなら、かなりうんざりした気分だったのは言うまでもない。
何故ならば、この手のヤラレ役の典型のような奴の相手をさせられるのに正直、飽きて来ましたから。少なくとも俺は戦闘狂などではないし、まして弱い者イジメをして気分が晴れるようなゲスでもない。
ハルケギニアに最初に召喚されてから現われた人間レベルの敵のパターンに則り、自信満々の口上から始まり、先手を取っての攻撃開始。しかし、その自信に満ちた攻撃が一切通用しない事に驚き――
最後は俺やその他大勢を巻き込んでの自爆攻撃もお約束のパターン。
確かに今回は何が起きるのかは分からなかった。特に最後の場面、彼のジャック・ヴェルフォール卿が最後に唱えた呪文はクトゥグア関係の呪文だったと思う。流石に狂気に彩られた伝承に語り継がれている状態……例えば最低でも星辰が整わない限りクトゥグア本体の召喚は難しいでしょうが、その代わりに炎の眷属を召喚されるだけでもかなり危険な事と成ったのは間違いない。
それも術者に残された最後の能力。自分の生命を糧にした最期の魔法は、奇跡に等しい現象を起こしたとしても不思議ではなかったので……。
もっとも、その部分に関して言うのなら、今回は今までの経験が物を言ったのは事実。彼奴が最初に炎系の術を行使したので、呪詛返しとして海神系の霊気で周囲を満たし、晴明桔梗で奴……ヴェルフォールの呪力の流れを阻害。最後に点穴を打ち込んで、術の行使自体を完全に防いだ後に奴の最期の攻撃だったので問題はなかった。……と思うのですが。
今までのこの手の展開では、最終的に自爆に等しい全力攻撃が不発に終わった後に、その術者の魂を糧として非常に厄介な邪神が顕現。
その後、顕現した邪神を相手に大立ち回りと言う、パターンばかりでしたから。
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