第7章 聖戦
第160話 崇拝される者
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エがあんな小物臭い奴を相手に手古摺る訳はない」
むしろ何故、直接戦う前に無力化して仕舞わなかったのか。
かなり不機嫌そうな雰囲気を発しながら、答えを返して来る崇拝される者ブリギッド。
……そう言えばコイツは俺が炎の契約者に相応しい人間かどうかを見極める……とか、何とか言っていたか。
もっとも、本当は契約を交わす方法を聞いてたじろぎ、グズグズしていた所為で同じくハルケギニアの精霊たちの王と言うべき存在の湖の乙女や妖精女王に先を越される事となって仕舞ったのですが。
そう考えながら、その瞬間、ラグドリアン湖の異常増水事件を解決した際の彼女の妙な――少し挙動不審と言える態度を思い出し、危うく笑みを漏らしそうになる俺。
しかし、俺の発して居る気配に対しては少し鈍感な面もある彼女なのだが、それでも流石に表情に出て仕舞うと、彼女の事を笑ったとばれて仕舞う恐れもある。そう考えて、慌ててしかつめらしい表情を取って見せようとした……。
……のだが……。
しかし、その取って付けたような表情は返って崇拝される者に不審に思われる。咄嗟にそう考え直し――
「流石に彼の程度の相手……と言う表現では、実際に戦った相手に失礼過ぎるかな」
少なくとも最期の攻撃だけは流石に見るべき物があったと思うぞ。
まるで武人と言うか、剣豪と言うか、とにかく人格者っぽい台詞を口にして見る俺。
発せられた言葉の内容だけを聞いたのなら。
但し――
但し、表情は明らかに笑いを殺した表情で。普段に比べると五割増ほどには格好の良いはずの台詞を、その表情がぶち壊している、と言う状態に。
相変わらず、少々姑息な手段。……なのだが、しかしこれならば、嗤われた相手が崇拝される者なのか、それとも死地に跳び込んで来た挙句に、あっさりとキューと言わされて生きたまま捕らえられて仕舞ったお笑い芸人の方なのか分からないでしょう。
そう、このハルケギニアに再召喚から使い魔契約、その後に顕われた伝説上の聖女の託宣。この一連の流れの最後に現われた的外れの闖入者。本人が言うには神に選ばれた英雄様らしい……のだが、一体何処の神様に選ばれたのかさっぱり分からない万年ヤラレ。ジャック・ピエール・シモン・ヴェルフォール卿は……。
大体、どうして其処まで自信満々で敵の本拠地に乗り込んで来られるのか。
まして俺の持っている知識から言わせて貰えるのなら、シモンと言う名前を持つ魔術師が宙に浮かんだ段階で負けが確実だと思うのだが。
地球世界で最も読まれた本に書かれた内容を知っている者からすれば。
つい先ほど行われた戦闘シーンの追想。
そもそも、シャーマン系の能力など
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