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KANON 終わらない悪夢
17リボンロボ襲来
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精子を流し込み、厳重に蓋をした。
(ついに精子サンプルを入手、お喜び下さい)
 また奇妙な声を聞き、さらに歓声のような声も聞いた祐一は我慢できず聞いてみることにした。
「あの、精子サンプルって何? どこかで調べるの?」
『えっ?』
 祐一には聞こえていない前提で話していたらしく、シーツに落ちた精子まで舐めとっていた少女が顔を上げ、驚いた表情で見上げた。
『あのっ、そのっ…… 相沢様のお種を欲しがる者は沢山いるんです、ですから土産に持ち帰って、その、子供を、沢山……』
 悪の秘密結社の怖い計画を聞かされ、身震いする祐一クン。自分の知らない所で数十人、数百人の子供が作られるのは恐ろしかった。
「それはやめてくれないか? 自分が全然知らない所で子供が産まれるなんて怖いだろ? それに、俺のなんて何の価値があるんだ、教えてくれよ」
『いえ、わたくしの口から申し上げる事はできません、秋子様にお聞き下さい』
「少しでいいんだ、教えてよ」
 困った表情をしながら、目を泳がせて考えている少女、隠すのに疲れたのか、ほんの少しだけ答えてくれた。
『あの、相沢様は、丘から降りて来られた、妖狐の血を受けた血族なのです』
「あ〜、そうなのか」
 真琴と同じ一族で、災厄を起こす力を逆手に取り、栞のように何かに役立てる方法が存在して、秋子のような千里眼だとか、自分のように癒やしの力があるなら、色々な使い道がある。ようやく話が繋がり、納得した祐一。
「でも、子供は自分と相性の良い人とだけ作りたい、君みたいに、好きになった人とだけ愛し合って産んで欲しい、ダメかな?」
『いえ、これは飲めば百薬の長、その身に受ければさらに強い力を持ち、授かる子供にも必ず大きな力を持たせてやれる、夢の霊薬なのです』

 そこで部屋の電話が鳴り、寝室の子機も鳴り始めた。
『誰? ここの番号は……』
 数回鳴った所で留守番電話に切り替わり、スピーカーから声が聞こえた。
「始めまして、名雪の母で水瀬秋子と申します、電話に出て頂けませんでしょうか?」
 驚きの表情で電話の方を見る二人。祐一は出したばかりなのも含め、オットセイクンが縮み上がってしまったが、周囲を見回して何処かから見られていないか確認する。
 少女は諦めて子機を取り、秋子からの電話に出た。
「はい、電話で失礼します、秋子…様」
「あら、いつもとは話し方が違うようですね。高校からずっと名雪のお友達でいて下さった方に「始めまして」は変ですが、お話するのは初めてですね」
「はい、ご挨拶にもお伺いせず、失礼しました」
「いえ、いいんですよ、お会いすると正体がばれてしまいますものね」
 少女は苦渋の表情を浮かべながら秋子の叱責を受け、しばらくは狐と狸の化かし合いが続いた。やがて話が核心に迫り、祐一も受話器に耳を当て
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