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KANON 終わらない悪夢
17リボンロボ襲来
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 次の日から祐一は、香里を家族にまかせ、昼間は学校に行くようにした。遅刻ギリギリの名雪特急の発車時刻より早く、用意を済ませて家を出ようとした所で。
「お早うございます、祐一さん」
 現在の彼女で秋子さんも了承した「婚約者」がお迎えに来てしまい、今回も「うぐぅ」の音も出ない祐一。もう四月なのに寒風吹きすさび、雪の結晶が見え「ダイヤモンド・ダスト」のフィニッシュブローでも喰らっている気がした。
「ヤア、ヲハヤウ」
 またカタカナ言葉になり、さらに旧仮名使いにまで後退している祐一。昨日のタクシーでは、乗り込む前に母親に極太の釘を刺され、祐一は母親と会話したので事情は聞かれなかったが、早朝から詰問の時間が用意された。
「昨日は一体、どんな「治療」をしたんですか? あんなお姉ちゃん初めて見ました、きっと凄く太い注射だったんでしょうねぇ」
 通学中、いつものように腕を組まれ、日常会話でもするように詰問が始まる。
「ウグゥ」
 栞の右手の力もクマ並になり、腕をクマれて嬉しいはずが、クマさんにベアハッグでも喰らったような感触がして、クマってしまってウグゥの声を漏らす祐一。
「イヤア、キノウハ、香里ノ友達ガ来テ、キスノ仕方ヲ教エテモラッタンダ、ダカラ……」
「へえ、教えてもらった? それって実習ですよね? 四人ともしちゃったんですか? それは良かったですねえ」
(キャイイインッ!)
 栞が出したクマさんスタンドに、オラオラにボコられそうな気がして、犬のような悲鳴を上げる祐一。
「チガウヨ、チガウヨ」
 ここにもいた名探偵の推理にも負けず、何とか言い訳をするが、栞に掴まれた左腕がミシミシと音を立て、昨日、香里に与えられたダメージを上書きした。
(警告、祐一クン・コレダー使用不能、左腕のパージを推奨します、挫滅のダメージにより、カリウムショックが起こる可能性があります。緊急退避……)
 祐一クンロボに搭載されたAIが警報を出し、内蔵武器の使用不能と、左腕のパージを推奨してきた。普通のロボのように、腕の交換ができない祐一クンロボは、脱出を試みようとした。
 通学路を100メートル7秒の速度で走りきる名雪特急、その俊足を活かす時が来た。祐一は無詠唱で「神移」を発動させ、100メートル7秒で走りだした。
(運命の乗り換えが開始されます、お待ちの方は白線まで下がってお待ち下さい)
「どうしたんですか? 祐一さん、急に早く「歩き出して」そんなに急ぐんですか? さぞ凄いキスを教えてもらったんですね」
「げえっ、まさかっ?」
 車田調で驚く祐一に、荒木調で駆けて同じ速度で通学する栞。どうやら四次元技の一つ「縮地」を駆使して「歩いて」いるらしい。
 祐一も相手がシルバーかゴールドの実力を持っていて、例え那由多の距離を走っても無駄なのを悟り、立ち止まって
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