16入院2日目
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ェラまですると言ったが、断るとリボンの少女は祐一に抱きつき、結構濃厚なキスをして来た。
(うっ、まずいっ、香里の前でっ)
舞と会話しただけで浮気認定、キス疑惑まで持たれたので、ディープキスの場合はどうなるのか? 現在ゴリラのような腕力で掴まれている左腕は粉砕されるに違いない、祐一は香里の鉄拳制裁を思い、身を固くした。
「も〜、お嬢はいっつも、人が持ってる物すぐ欲しがるんだから」
キスから開放されて涎の銀の橋が掛かっても、明らかに舌まで入れた濃厚なキスを見せられても、香里は怒りもせず、持ち物に対する物欲を責める程度の指摘しかしなかった。
そこで祐一は、ディープなキスをしている最中から、写真に撮られているのに気付いた。
「え? 何? 脅迫写真?」
『記念写真だよ、ファーストキスの記念』
その割には上手で、舌を入れるのにさえ全く躊躇が無かったリボンの少女は、祐一の口をハンカチで拭き、後ろを向いて自分の口を拭く振りをしながら、先程の小さめのカップに祐一の涎を流し込んで蓋をした。
(唾液のサンプル回収に成功、口を拭いた聖遺物も回収)
先程と同じく、精度が悪い雑音だらけのマイクが拾った音のような、変な声を聞いた気がする祐一。それで疑惑は確信に変わった。
『相沢くん、ついにチューまでしちゃったね、私達もう恋人同士でいいよね?』
「え〜、いいな〜、アタシにもしてよ」
香里の様子を見ながら、別の女まで祐一に迫るが、香里は怒りもせずにこう言った。
「仕方ないわね、みんなキスまでよ、祐一もそれ以上しようとしたら、許さないんだから」
「やり〜〜っ」
「お口の処女卒業ってカンジ?」
明らかにおかしくなっている香里と友人達。そう言えば先程からずっと、リボンの少女の語り口調もおかしい。声だけでなく、頭の中にまで響くようで、その声を聞くと逆らう気が起きなくなる。
「私は遠慮しとこうかな? だって香里に悪いし」
「アホか? アタシらこのために何年「草入り」してると思ってるんだ」
(黙れ、正体を明かすつもりか?)
キスを遠慮した少女を、祐一に向って押し出した少女の言葉の意味が分からず、また違和感を感じたが、リボンの少女の心の声が響くと、他のメンバーの動きが止まった。
「ごめん、だってファーストキスがこんな所で、それも香里の彼氏だなんて、悪いなって思っちゃって」
震えながらキスを拒んでいた背の高い少女も、言葉とは裏腹に祐一迫り、小鳥のような口の先が触れるだけの軽いキスをされた。
『だ〜め、やり直し、もっと息を吹き込むみたいにしてもらわないと。ねえ相沢くん、人工呼吸してあげてよ』
「えっ?」
『私達も香里と一緒でさ、血が足りなくなる病気なんだよね、この辺の風土病なのかな? だから香里にも頼んで、私達も治してもらおうって決めたの』
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