暁 〜小説投稿サイト〜
KANON 終わらない悪夢
16入院2日目
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発覚しました、お嬢様はお逃げ下さい)
 見舞客のうち一人は、リボンの少女の付き人だったらしく、敬語で話し「お嬢様」とまで呼び始めた。
(事を荒立てぬように、静かに、静かに退くぞ)
『すいませ〜ん、ちょっと女の子同士てダベってたんです、すぐ出ますから〜』
 扉越しに術を掛け、様子を伺ってから鍵を開け、ゆっくりとドアも開ける。自分より下位の術者には効いたようで、虚ろな目をした人物が軽く注意をした。
「もう…… いけませんよ、車椅子の方はここしか使えないんですから」
『は〜い、気をつけま〜す』
(散れっ)
 先程の尿サンプルを入れた鞄を後生大事に抱えた少女が飛び出し、唾液のサンプルを持った少女も逆方向に走っていく、聖遺物とまで言われたジップロックに入ったハンカチを渡された少女も、脱兎の如く走り去った。
『じゃあ香里、私達今日は帰るねっ、また明日も来るからっ』
 リボンの少女も、香里に一声かけると走って帰って行った。呆然と見送っていると、職員らしき女性も出て行ったので、祐一も女子トイレから出られた。

 その後、ふらふらになった香里を病室に戻すと、すぐに眠り始め、治療?が効いたのか大の字になって、いびきまでかきはじめた。
「おい、大丈夫なのか? おい」
「眠たいのよ、寝かせて」
 起こそうとすると邪魔だと言いたげに振り払うので、意識はあるようなので安心する。母親と栞が帰って来ても、同じ調子で「もう食べられない」などとホザいたので、一般病棟の面会時間が終わると、香里を置いて帰ることにして、祐一もタクシーで送ってもらい、その日は解散になった。

「うぐぅ、あの子たち誰なの? 祐一クンが危ないよ」
(さあ? 地元の子じゃないね、どこから来たんだろう? でも、相沢祐一も嫌がりもせず、嬉しそうにしてるじゃないか?)
「祐一クン酷い、香里さんも変だよ」
(香里さんは術に掛けられてるよ。ほら、力が強い子が『こうやったら色々命令できるんだよ』知ってた?)
「天使の人形様、何でもお命じ下さい、ボクは貴方様の下僕です」
(あ〜あ、効き過ぎちゃった、『もういいよ、元に戻って』)
「うぐぅ、何か酷い目にあったような気がするよ」
(あははっ)

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