16入院2日目
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、ねっとりした表情と仕草で祐一を離し、ベッドに座り直したが、友人達の証拠写真作成にも協力し、良くなった顔色のまま舌を出し、Vサインまでして妹の前で勝利宣言した。
「へへっ、これで良くなるんだよな? 香里、助かるんだよな?」
朝に電話で「お別れ」されてしまった友人が泣いてしまい、しんみりした雰囲気になった病室だが、祐一も何とかフォローしてみる。
「いまの見ただろ? こいつの正体はヴァンパイアだ、香里は助かるが俺は助からない、こいつに血を吸われて明日にはカラッカラだ、誰か牧師を呼んでくれ」
「ははっ、確かにそうだ、こいつバンパイアだっ」
「アタシも見たぞ、相沢の血を吸う所、あははっ」
涙を拭きながら、冗談とも本気ともつかない会話をして、少し雰囲気が明るくなる。
「それと、牧師がいるってのは、こっちだろ?」
香里の友人に左手を掴まれ、袖の下に隠れていた「二人の時間を繋ぐ運命の腕時計」を引き出される。
「出たね、それを付けてたら、相沢が起きた時間までわかる、ラブラブアイテムだ」
先程の電話の内容まで聞かれていたのか、友人同士で自慢話があったのか、腕時計の交換の話まで知っている一同。
「やるー、アタシも結婚式、見たかったな〜、もっかいやってよ、ほらなんだっけ「富める時も、貧しき時も」」
「病める時も、健やかなる時も?」
その続きのNGワードが言えなくなった友人は黙りこんでしまったが、代わりに香里が口を開いた。
「死が二人を分かつ時まで、愛しあう事を誓いますか?」
その視線と表情は祐一に向けられ、今朝と同じ言葉を要求されていた。
「ああ、誓うよ」
栞が見ていても、否定の言葉は出せない祐一、これが後ほどどれだけ不利になるかも知らずに答えた。
「ううっ!」
写真も撮られたが、友人の一人が泣き崩れてしまい、他の友人達もやっと収まった涙があふれ出していた。
「なあっ、相沢っ、助けてやれよっ、香里を助けてやってくれよっ」
服を掴まれ、何度も引っ張られる祐一。背が高い少女は力が強く、シャツのボタンが一つ千切れ飛んだ。
「やめなよ、服が破れるって」
別の友人に止められ、腕を離してもらい、飛んだボタンも探して拾ってくれた。
「相沢くん、付けてあげるよ、ちょっと待って」
鞄からソーイングセットを出して、ボタンを付けようとしてくれる少女。
「おいおい、それは「妻」の仕事だろ、ゆずってやりなよ」
「あっ、そうだね、はい香里」
わざと目立つ赤い糸を針に通され、ボタンと一緒に渡された香里は、祐一のシャツをはだけ、ボタンを縫い始めた。祐一は針で刺されそうな予感もしたが、今日はまだ刺されるような失態を起こしていないので任せてみる。
「さあ、夫婦初めての共同作業です」
「あはっ、相沢くん、シャツ脱いだ方がいいんじゃない
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