第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#45
FAREWELL CAUSATIONX〜時ノ雫〜
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【1】
「う、うぅ……! 手が、手が勝手に……ッ!
全然、抵抗出来ない……! 腕の先が痺れて、感覚がない……!」
少女の必死さを現すように全身から紅蓮の火の粉が幾度も迸るが
噛み合わない歯車に同じくジリジリと火急の断崖に追い込まれるのみ。
グァシィッ! 細い指先が、小さな喉元を自ら掴んだ。
そして負傷しているにも関わらず、副次的な動作しか出来ないにも限らず、
本来の機能を超え鉄球を罅割る圧力で絞め掛かる。
「ぁ……ぅ……………………」
最早末尾は声にならなかった、利き腕で引き剥がそうと試みるも
凍てついた鋼の如く微動だ゙に出来ない。
自身の身体を自由に操られる、単純だがコレほど怖ろしい能力も他にない、
如何な強者と云えど生物で在る限り、呼吸器を塞がれればソレで死ぬ。
「……! ……………ッ!」
通常より白くなった肌が滞った鬱血で異様に赤みを帯びてきた。
打撃技と違い頚部への絞め技は、苦痛よりも甘美なる陶酔を齎す。
しかしソレは死への一本路、呑み込まれれば永遠に目覚める事はない。
堪える様も悦楽への抵抗に似たり、小首を振り乱しつつ圧迫から逃れようとするも
部分部分が弛緩していき喘ぐ様な呼気が熱を持つ。
生命の根源、二重螺旋構造に穿たれた暗孔、
故に力を無理矢理引き絞られていると言うよりは
神経の情報伝達信号が書き換えられていると云った方がいい。
スタンド能力は 『法則』 なのだ、
水が海を覆うように、空が大気で充ちるように、
その理を変える事が出来る者は存在しない。
故に――!
(霞現ッッ!!)
胸元のペンダント、神器コキュートスが紅く発光する。
王とフレイムヘイズの精神を入れ換える禁儀
“霞現ノ法”
コレにより存在の 「属性」 も変わるため窒息だけは免れる、
しかし――!
『ぬ――!? ば、莫迦なッ!
我の顕力でも拘束が解けんッッ!!
腕の造反を止める事が出来んッッ!!』
神儀 “天破壌砕” ソノ最大出力による
完全顕現ならなんとかなったかもしれない、
しかし前述の通りスタンドは 「法則」
パワーで理 は砕けない。
『が――! む、ぅ――ッ!』
少女の声で、紅世の王が呻きを漏らす。
いつまで経っても絶命しない標的に対しスタンドが絞める事よりも
潰すコトに操作を移行したのだ。
紅世、現世どちらの歴史を紐解いてみても、
最強の王アラストールを生身の手で扼殺しようと
試みたモノはいないだろう。
しかしそれを可能せしめるのがスタンド能力、
究極まで往き着いた人間の精神は
ソレが正義だろうが悪だろうが次元すら越えて何者をも滅する。
『む、ぐ……
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