第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#45
FAREWELL CAUSATIONX〜時ノ雫〜
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ッ! おおぉ……!』
躰の裡側から、己の空身を生み出す “陽炎”
一度本体と同化させそれから離したが故に
かろうじて一度だけ霧の拘束から免れる。
罅割れたアスファルトに竜鱗と化した黒衣の影が落ちる、
その足は地に付かず躰は宙に浮いている。
グシャリ! 頭上で耳障りな音がし少女の幻影が傾いだ。
気道を破り頚骨が直に握り潰されている、
アラストールの機転と法儀がなければ同じ運命を辿っていたのはシャナ自身、
放散して舞い散る火の粉は生々しい血の驟雨と成っていた筈。
『ともあれ “霧” 、だ。
今一度アレに纏われれば脱退出来ぬ。
同種の回避はおそらく通じぬ。
愛染の娘が何故 “幽波紋” を行使出来るか解らぬが
今詳解する暇 はないッ!』
瞬時の洞察、考察、監察、流石は紅世の王アラストールと
称するべきだろうが特筆すべきはその決断の速さ、
承太郎、ジョセフは云うに及ばず、嘗て北米大陸にて
“異魔神” と呼ばれた男と比しても遜色なし。
“天 壌 魔 幻 劫 絶 界”
嘗て 『銀 の 戦 車』 を
完膚無き迄に討ち滅ぼした業を 「功」 とするなら
コレは 『守』 の奥義。
波長の違う炎の粒子と粒子を互いに反発、
ソレを数万回繰り返すコトによって光と化した
核熱を周囲に展開し維持、最早単なる防御に留まらず
ヘタに攻撃を加えれば武器が四肢諸共に炎蒸する極絶結界。
さしもの “霧” も弾かれる、骸の指先が塵も残らず消滅する。
(む……! 早くも意識が揺らいできたか。
長引けばシャナの精神は過負荷に堪え切れず崩壊するか
我が想念に呑み込まれるッ!
だが愛染の娘も制御仕切れぬこの能力、
“其れ故の” この威力ッ!
長くは掛かるまい、このまま彼奴等の自滅を待てばそれで終決ッ!)
少女の姿、少女の声でアラストールの慧眼が老練に光る。
その推察に間違いはないだろう、
行き過ぎた力、本人の許容を超えた能力は身を滅ぼす。
無動の極限攻防は同時展開、
ティリエルの左手が意志に反して操られ
その細い首を薔薇の茎を摘むように掴む、
傍のソラトも霧に囚われ動けない。
「う……! ぐ……ッ! か…………」
花飾の爪が陶器のような白肌に喰い込んだ、
そのまま麗華罅割る圧力で喉元を潰し、
首ごともぎり取る狂暴さで絞搾に掛かる。
「――ッ!」
だが、そこでギラリとティリエルの双眸が一変する。
潜行型のスタンドに首筋を喰い破られているに等しき状態にも関わらず、
何とか自由な右手が支配下にある左手首を掴む、
本人にとって
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