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KANON 終わらない悪夢
15帰宅
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を盾にして法律だとか嫌がらせだとか、散々嫌な思いをさせられるでしょうね。そんな物から守ってあげるには、家族どころか一族全体の力を集められるような家じゃないと維持できないんです」
 それが倉田の本家のような存在だと思い、しきたりだの分家の上下関係など、嫌な思いばかりした実家での記憶を思い出す。娘の幸せを考えれば実家の力を借りなければならないらしいので、長い間疎遠だった親族に相談をしてみようと思う母であった。

「これから、もっと悪い言い方をしますので、皆さんご気分を悪くすると思います。お怒りになったら席を立ってお帰り頂いて結構です、宜しいですか?」
 秋子がそう宣言して一同を見回すと、全員が頷いて了解した。
「娘の命が危ないと分かった時から、色々と覚悟はできています、どうぞお話になって下さい」
『分かりました。では栞さん、香里さん? これからも命を繋ぎたいなら、月に一度は祐一さんと愛し合って下さい。予防接種か栄養注射だと思って堪えて下さい。瀕死の重病の方でも、出産すれば6年程度持った方もいます、いいですね?』
「「はい……」」
 争っていた両者だが、何故か秋子の言葉には逆らえずに納得した。両親も、愛人同然の娘達の今後に嘆いたが、せめて命だけでも永らえてくれて、好きな相手との子供を産み、自分達にとっては孫が産まれるなら構わないと思えた。
『祐一さんからの好意ですので、もちろんお代などは頂きません。でも、命を永らえた栞さんは「金の卵を産む鶏」同然になります、これからご両親もお金に困るような事は無くなるでしょう。でも栞さんの力を狙って、誘拐、詐欺、縁談、ありとあらゆる物が転がり込んで、大きすぎるお金にご両親も振り回されて、折角仲が良かったご家族もバラバラ、香里さんも力の使い道が分かれば狙われます。次回お会いするまでに、お嬢さん方を守る組織を作って下さい』
「ええっ?」
「組織、ですって?」 
「信頼のできるご親族も良いですが、必ずお金の持ち逃げや寸借詐欺が出て、聞いたこともない親戚が沢山現れるでしょう。私が懇意にしている弁護士さんや、警備会社の方を紹介しますので、連絡をとって下さい」
 既に理解不能の状況になり、首を捻っている一同。娘の医療費や家賃の支払いにも困る現状から、お金が有りすぎてトラブルに巻き込まれる生活など、想像もできなかった。
「栞さん? 今度、割の良いアルバイトを紹介しますね、学校なんか休んでも大丈夫ですから、ご家族と一緒に行きましょう」
「え? はい」

「では、他にご意見がないようでしたら、祐一さんに結論を聞かせて頂きましょう。祐一さん? 栞さんとの交際を続けますか? それとも筋道を違えてまで香里さんとお付き合いしますか?」
 ほぼ結果を提示されたような祐一だが、縋るように抱き付いている香里を振りほどくような真
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