15帰宅
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い果たすって、あたしは何をしたんですか?」
自分の力が理解できないのと、一体何をしでかして命を失う寸前にまで陥ったのか、劣勢になった所で秋子に問い掛けてみる香里。
「そうですね、周りの人の行動予測と、どうすれば自分の思い通りに動いてくれるか計算して、自分の望む未来を作る能力、とでも言いますか?」
「そうなんですか……」
全て無駄になってしまった計画書を見て、惨めな気持ちになる香里。こんなことのために、命まで失う羽目になったが、たった一つだけ、予想もしなかった希望の物を手に入れたことには感謝していた。
「でも、香里さんは何もかも犠牲にして、自分でも考えもしなかった、「一番欲しかった物」を手に入れたのかも知れませんね」
「えっ?」
また自分の心を見透かされたようで驚かされるが、羨ましすぎた妹の恋愛の一部を、自分も堪能するために行動したとするなら、全てが無駄では無かったのだと思い直す。
「今の所、「悪巧み」の域を出ない力ですが、「少し先を予測する力」と「大勢の人を巻き込んで、思い通り動かす力」、政治家の方や企業の方が喜ばれる力だと思いますよ」
「そうなんですか?」
その言葉を聞き、少し表情を明るくする香里。先程聞いた、未来予測の力を持てるなら、自分の力も妹に見劣りしないのではないかと思い始めた。
『でも、無駄に力を使ったり、遠回りしないで済むよう、もっと素直になるべきだと思いますよ。強気で通して本心を隠して、大声で泣けば我儘が通ると思うのは間違いです。特に、暴力で従わせるのはいけませんよ』
祐一の服から出ている部分を指差し、多くの傷跡が残っている状況に苦言を呈する。
「はい……」
この日から、香里はほんの少しだけ素直になった。
「それでは、祐一さんと付き合いたく無くなるような話もしましょう。他の家でも、縁談とまでは行かなくても、「せめてご落胤だけでも」と願って来るご家庭も多いんです」
「ごらくいんって何ですか?」
知らない言葉だったが、姉と同じで何か卑猥な感じがして、聞かずにはいられなかった栞。
「ええ、お二人と同じ、ご病気や力の源が無い方、お金しか出せない家から、「祐一さんの子供だけでも産ませて下さい」と言ってくる所も多いんですよ。栞さんはこれからも、祐一さんの浮気や隠し子に苦労させられるでしょうね。やはり普通のお嬢さんにはお勧めできません。若い頃の遊びだったと割りきって、寿命が伸びればお別れするのが良いでしょう」
「そんなの嫌ですっ、祐一さんと別れたくありませんっ」
栞はそう言ったが、両親も祐一に近付くのは考え直させられた。
「いいんですか? 香里さんのような方が列をなして祐一さんに懇願してくるんですよ。「生かして下さい」「死にたくない」「子供だけでも」って、その上、あわよくば奪い取ろうとして、子供
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