15帰宅
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」
栞を応援している父は、行儀が悪く、気が強すぎる娘の応援はせず、遠回しに行儀が良くて、夫を立ててくれそうな娘をほめた。
「でも、学校の成績だとか、社会に出てからは香里の方が役に立つと思いますよ、こういった手続きや手配は得意ですしね。栞は気が弱すぎて昔から虐められて、就職しても、ご近所のママさんからも虐められて、ちゃんとやっていけるかどうか心配で心配で」
香里を応援している母は、気の弱い娘は社会でも近所でも通用しないと言い切り、有能で社会の競争にも勝っていける姉を持ち上げた。
「香里さんと祐一さんでは、プラスとプラスで反発しあってしまうように思うんです。やっぱり香里さんは、うちの名雪みたいな、おっとりした子の「旦那さん」になるのが似合っていると思いますよ」
「「「ははははっ」」」
秋子の冗談に、父親、祐一、栞は爆笑したが、香里と母は笑っていなかった。
「私どもは、こう言った家系ですので、実は他の家からも沢山縁談を頂いています。娘の名雪にも縁談は来ているのですが、本人は祐一さんをとても気に入っているようです」
さり気なく名雪の名前も出し、多くの縁談の中の一人に混ぜておく秋子。母親も「縁談」の話は気になり、聞かずにはいられなかった。
「あの、他の家と言うと、縁談は何件ぐらい来ているんでしょうか? もしかして倉田の家からも……」
「余りお話できませんが、こういった力は政治家の先生方や、企業の方に重宝されるようで、「信じられない程」とお答えしておきます。特に「予知」や「癒やし」の力となると、お金には替えがたいほど価値があるようで、私どもの家では、その類を生業としているとお考え下さい」
そろそろ開いた口が塞がらなくなって来た一同。祐一も秋子の仕事内容を聞き、両親も似たような事をしているのだと思えた。
「すぐ婚約となると、先約からの反発が多すぎて困りますし、最終的に決めるのは祐一さんですので、暫くお付き合いしてみて、お互いの相性を見極めてみてはどうでしょう?」
美坂家の一同は、綺羅星のように並ぶ上流階級の縁談希望者を思い、暗い表情になった。
「やはり私どものような庶民では、相沢さんとの縁談など、考えられないんでしょうな、出過ぎたことを言いました」」
肩を落とし、病気の娘を担ぎ出して無理なお願いをしたのを後悔する父。健康で大きな資産を持っているお嬢様と、嫁入り道具や質素な式すら用意してやれない自分の無力さを比べ落胆した。
「ご心配には及びません。もし栞さんと結婚して、力を使うのに制限が無くなれば、「失せ物」や「盗まれた物」を取り出せるようになって、依頼が絶えることは無いでしょうね」
秋子の言葉を聞き、栞と父の顔は輝きを取り戻したが、母と香里の表情はさらに曇った。
「あの、あたしの力って何なんですか? すぐに力を使
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