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KANON 終わらない悪夢
15帰宅
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ですかっ?」
 もう怖すぎて、祐一にしがみついて、秋子から隠れるように泣いている香里。ここまで空気だった父親が、ようやく口を開いた。
「どうやって家にある書類の中身までご覧になられたのですか? この件は香里と私しか知らないはずですが?」
「そうですね、「遠見」とか「千里眼」と言われる力です。香里さんの話を聞いている間、この書類を処分することばかり考えていたので、少し意地悪してあげただけです」
 祐一から見ても、恐ろしい出来事が起こっていたが、秋子はクスクスと笑っていた。
「まだ詳しくお教えできませんが、これが私達が持っている力です。こういった力の源を、祐一さんからお嬢さん方にお分けしたので、病状が良くなられたようですね」
「そうでしたか……」
 どんな奇術を使ったとしても、栞と打ち合わせを済ませていたとしても、ここまでの結果が出せると思えなかった父は、秋子の言葉を信用することにした。
「香里さんは、まだ力を見付けたばかりで、今まで力を使っていなかったのも運が良かったようですね。最近、祐一さんのために力を使い過ぎたので、急にご病気が悪化したようです。それとも、今までは名雪から力を貰っていたのかしら?」
 千里眼と聞き、名雪の力にも心当たりが多く、母や妹も当然のように理解しているのを見て、ようやく恐怖から開放される香里。
「ですので、お嬢さんと家の者がお付き合いしている間は、病状がそう悪化する事は無いと思います。香里さん、名雪とも今まで通り仲良くして下さいね」
「はい……」
 名雪との絶交を阻止して、今日の大半の収穫を得た秋子。

「それでは話を戻しましょうか。私から見ますと、栞さんは細かい事でも何かと気が付いてくれて、お行儀も行き届いていて、話し方や仕草でも祐一さんを立てて下さるようにお見受けします。香里さんは昔から知っていますが、気が強くて、一度決めたら自分が間違っていても、引っ込みが付かなくなっても、押し通してしまう所があるように思うんですけど、如何でしょう?」
(その通りですっ!)
 祐一は隣の女に鉄拳制裁を加えられないよう、心の声で賛同した。
 栞も今までの行いや細かい仕草が実を結び、秋子に認めて貰えたのを喜んで、心の中でガッツポーズをした。
(なっ、何で? 名雪とだって、あんなに仲良くしてたのに)
 香里はここで「祐一の嫁」選抜戦において、妹に大幅に遅れを取っているのに気付き、秋子を恐れるのを止めた。さらに自分の今までの行動を棚に上げて、秋子に認めて貰っていないのに失望した。
「いやあ、お恥ずかしい。香里の奴にも同じように行儀作法は教えたはずなんですが、口が酸っぱくなるほど注意しても、女性の人権だとか効率の良し悪しで言い訳して来まして、やはり見ている人には見られていて、こんな肝心な時に差が出てしまうんでしょうな
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