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KANON 終わらない悪夢
15帰宅
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っても、力の源が無いので早くに亡くなってしまう、そういったお話はご存じですか?」
「はい、子供の頃に聞かされました。力が使えても、何代かに一度、力のある方に血を分けて頂かないと、家が絶えると聞いています」
 祐一は、秋子が美坂の両親に「願い事が叶う壺」でも売り込まないか心配になってきた。
 そこで秋子と母親が会話しているのを見て、香里は父親の前に婚姻届を出し、署名する場所をトントンと叩いて記入を強要していた。
「香里さん、抜け駆けはいけませんよ」
 秋子の話も聞かず、胡散臭い物のように無視したのを注意され、ビクリとする香里。

「そうですね、その証拠として、手品でもご覧に入れましょうか? 栞さん、ポケットに手を入れて、目を瞑ってみて下さい」
「え? こうですか?」
 両手を上着のポケットに入れ、言われた通り目も瞑った。
「ええ、そうです。では、お姉さんの机の場所は知っていますね?」
「はい」
『一番上の鍵が掛かった引き出し想像して下さい、その中に茶色くて大きい封筒は見えますか?』
「ありました」
『ではそれを取り出して、机の上に置いて下さい』
「はい」
 机の上には「相沢祐一入婿計画」と大書された、A4の折り畳まれていない茶封筒が置かれた。
「きゃああっ!」
 この場所に存在するはずが無い物が机に置かれ、それに見覚えのある香里が悲鳴を上げ、椅子から転げ落ちた。
「残念ですが、これが栞さんの力です。この場に無い物を引き寄せる「遠寄せ」と呼ばれるものや、ご自分が行きたい場所まで跳ぶ「縮地」「転移」、これを使う度に命を削られて、力尽きた所で命を落とされます」
 驚いている一同の中で、祐一に引き起こされ、椅子に座り直した香里が口を開いた。
「どうしてそれがここに? どうやって?」
「栞さんと奥様は驚いておられませんね? 普段いつでも使う「当然の出来事」ですから」
 それでも娘が、自分と似たような力を使ったのには驚いている母。子供の頃に見付けて、二度と使わないよう言ったが、ポケットから小物を出し入れするのは簡単なので麻痺しているようにも見えた。、
「私は、子供の頃に使って、親族に「絶対に人前で使うな」と言われて、それからは使っていません」
「ええ、悪用すれば銀行のお金でも取り出せますからね、『栞さんはそんな事をしてはいけませんよ』分かりましたね」
「はい、そんなことしません」
 良い子だと思ってもらえるよう、言い付け通り動いて、お使いも済ませ、得意になっている栞。姉と父が青い顔をして震えているのは、何故なのか理解できなかった。
「これで栞さん用の婚姻届も揃いました、香里さんだけ有利でしたから、おあいこですね」
 封筒から栞用の婚姻届だけ取り出し、不要な計画書などは香里に返す秋子。
「どうして中身まで知ってるん
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